原作沿い連載U
□標的62/ちぐはぐのパンドラU
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「よし。まずはあれだ」
小さな指の先、ニナからは大幅に視線をずらすと、後姿だろうと一撃で正体が掴める幼児が2名。
獄寺の顔が一瞬にして凶悪に変貌を遂げた。
「お、ランボにイーピン。迷子か?」
見てみると、あっちへ行っては引き返し、ぐるぐると同じところをまわっている。
「あいつは救いよーのねーアホだからな。ニナの外出に便乗するついでに
いっちょまえに驚かそうとあとをつけてみたらアイスと風船に目がくらんでニナを見失ったんだぞ。」
「ああんんのアホ牛がっ!」
心底うざそうな口ぶりからして、先ほどから視界のすみをちょこまかびーびーやられたのが相当気に障っていたようだ。
まるで見てきたように言うリボーンだが、見たくもないのに見えてしまっていただけである。
その不幸は今朝、玄関先から既にはじまっていて、ランボがイーピンを唆しているところだった。
うざくてバカでムカつくアホ牛だが、リボーンは一流の家庭教師なのである。
たとえうざくてバカでムカついて殺して座布団にしたいアホ牛だろうと、教材にしてみせるのがプロというものだ。
と、リボーンは日々、射殺したくなる衝動を感じるたび自分に言い聞かせている。
運がいいのか悪いのか、ふらふらと彷徨うランボたちは、あと少しでニナたちに遭遇しそうになっては離れ、迷っている。
「アレをニナたちに気づかれることなく退場させろ」
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「ニナちゃん?」
ふいに手にとっていたショートパンツを置き、店の外をきょろきょろと見回したニナを、京子は不思議そうに見つめた。
「ランボの泣き声が聞こえたような……」
「ランボ君?」
京子もあたりを見回して耳を澄ましてみるが、聞こえるのは雑踏や休日らしい喧騒の類ばかりだった。
ニナもどうやら同じだったようで、「やっぱり気のせいかぁ」と呟いた。
「いないみたいだね」
「そうみたい。ごめんね
てっきりこっそりついてきたものかと思っちゃった」
「ううん。それにランボ君がいたなら、きっとまっすぐにニナちゃんのところに飛んでくるよ」
その姿が容易に想像できてしまい、なんだかくすぐったいやらしょうがないやらだ。
「それもそうだね」
「そうそう!」
「ニナー!京子ー!
あんたたちそんなトコでなにやってんのよ!!」
「ニナさーん!!ハルはニナさんとおそろいでこれが欲しいですー!!」
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