原作沿い連載

□標的14/極限に死ぬ気の炎
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夏休みがやってきた。
元社会人だった身としては、暑い夏に1ヶ月以上も公然と休めるこの期間は有難さが身に染みる。


今日は、初めて京子ちゃんちに行ってきます。


町内が違うので、並中前で待ち合わせ。
今日は花ちゃんが親戚の家にいっているので欠席なのが残念だが、いくつになっても、初めて友人の家に行く時というのは
嬉しいものである。
日焼け対策に、日傘と長袖のブラウスを羽織っていざ出陣!


「京子ちゃーん!」

「あ、ニナちゃん」


おーい、とぶんぶん手を振ると、こっちに来てくれた。
京子ちゃんはノースリーブだったので、日傘に入れるようスペースをあけた。


「ありがとう
 ニナちゃんは日焼け防止ばっちりだね」

「どーいたしまして
 私すぐ焼けて黒くなっちゃうから」


季節外れの相合傘をしながら歩いていると、こちらとは向かい側から歩いてきたサラリーマン風の人が駆け寄って来た。
いかにも変な人だ。
やらしー顔をしている。
これで妻子もちだったら驚きだ、とか関係ないことを考えていると、そのおじさんは私たちにだらしない笑みを向けながら
「君達姉妹?可愛いね」などと言ってきた。
この場合姉=京子ちゃん、妹=私だろう。
私のほうが背が低い。(だから、日傘は京子ちゃんが持ってくれた)
純粋な京子ちゃんも、この人は危険だと悟ったのだろう。
私たち2人の警戒する視線をあびて、男は慌てて取り繕った。


「ああ、オジサンは怪しくなんてないよ
 ちょっと君達と話をしてみたいだけなんだ」

怪しい人が、自分で怪しいと自白するわけはない。
言い訳する方が余計に不審だというのに……


「すみませんが、私たち急いでるからオジサンと話す暇ないんです
 それじゃ」
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