原作沿い連載U
□標的44/突撃びふぉーあふたーV
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あらかたダイナマイトを仕掛け終わった獄寺は、一服しようとポケットからライターを取り出した。
ロンシャンの部屋へとたどり着く道のりの途中にも、こっそりいくつか仕掛けてきたので、
あとは脱出する際に玄関を爆発させれば、ドミノ形式で爆発が連動していくだろう。
一番重要なボス候補であるロンシャンの部屋には特に念入りにしたし、そうでなくともこれだけのゴミの山があれば
それはよく燃えるだろうことが予想される。
ダイナマイトはニナに気がつかれることなく、無事ゴミに紛れていた。
「火はやめて」
タバコに火をつけようとしていた時、ふとどこからか声がした。
それに、足元がぐらつく。
「髪燃える」
崩れ落ちるゴミの山から出てきたのは、身の丈2メートルはくだらないだろう大きな大きな人だった。
その大きさは、ゴミ山でおきた雪崩にバランスを崩している獄寺との対比からもよく見てとれる。
まるで大人と子供ほどの差だ。
「なんだ
まだ寝てたのさなっぴ!!」
埋まっていた人に向かって声をあげるロンシャン。
ニナはもしかしてまた…?などと思いながら、ロンシャンとその人とを見比べた。
「あ…紹介すんね
オレの新恋人!!さなっぴ」
「やっぱり…」
出てきた人の特徴的な外見から、そう予測できたことではあったのだが…ニナはころころ変わる恋人に呆れるばかり。
「あのね…日替わりランチじゃないんだから」
「おねむかわいーさなっぴー!!」
「やべバイト」
「自然な寝グセ完ペキー」
「はいはい聞いてないよね」
ロンシャンとは反対に、さなっぴと呼ばれた大柄の女性は彼など見もせずにバイトへ向かった。
脇にはこれまた大きなヘルメットを抱えている。
オーダーメイドか気になるところだ。
彼女に夢中なロンシャンがニナの言葉など聞いているわけもなく、もうニナも慣れた様子で諦めていた。
獄寺は今だけ、ロンシャンの到底理解できない彼女の趣味とそのサイクルの速さに感謝した。
10代目がこっちを注目したときは、本当に焦ったのだ。