短編

□原作沿い連載番外編 標的24.5
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今日のオレは朝から機嫌が良かった。
何故なら、今日は朝早く目が覚めたのでご一緒に登校すべく10代目をお迎えにあがろうとした時、
10代目のお母様から直々に『頼りになる』とのお言葉を賜ったからだ。
早起きは三文の徳とは良くいったもんだぜ。

だがオレは考えた。



「あ、武君おはよー」


野球バカ、山本と話される10代目を見て思った。
なぜケンコー骨のあいつが『武君』で右腕のオレが『獄寺君』なのかと。
そりゃあ悔しいが、アイツのほうが10代目との付き合いはオレよりほんの少し、髪の毛1本分くらいの差で長いかもしれない。
オレがイタリアで生まれて、山本が10代目と同じ日本に生まれることができたという幸運のおかげで。
そうでなければ、あんなマフィアでもない一般人が10代目とお近づきになんてなれるはずもない。

つまりは『生まれる前のどうにもできない諸事情のおかげでちょっとばかし先に出会ったからといって調子乗んなよ山本!』
というわけだ。
それから『もうそろそろオレも名前で呼んでくださってもいいのではないでしょうか10代目』
というのもあるのだが、そんなこととてもじゃないが部下であるオレが指図していいことではない。
山本は右腕の器には程遠いので、10代目に初めてお会いした時名前で呼ぶように言ったらしい。(差し出がましい奴め!!)

更にオレは考えた。
10代目がオレの名を呼んでくれないのは、日本人特有の照れというものもあるのかもしれない。
日本人は、何かと家名で呼び合う奴が多い。
まあ10代目以外の、そのへんのぺんぺん草みたいなのに気安く名前を呼ばれるのも気にいらねえがな。
だが10代目は別だ。
尊敬する方に名前で呼ばれたいと思って何が悪い!?
かといって、山本のようにもう初対面でもなければ、今更なんと言えばいいのかもわからない。
すっかりオレは『獄寺君』で定着してしまっている。
どうしたらいいのかわからなかったオレが悩んでいると、見かねたリボーンさんがオレに強化プログラムを施してくださった。
ボンゴレ最強のヒットマンとうたわれるリボーンさんが、わざわざオレのために。
それもこれも、オレを右腕として期待してくださっているに違いない。
内容もとても高度なもので、10代目はいつもこのような教えをいただいているのかと思うと畏敬の念を抱くばかりだ。
空気抵抗の教えにともなう、あの変なヘアースタイルの実験はちょっと嫌だったが…それもあまり身にはならなかった。
イーピンの餃子拳を受けて、脳を鍛える訓練をしてみたがこれもうまくこなすことが出来なかった。
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