拍手お礼〜IFシリーズ〜
□〜 IF CASE ランボ V 〜
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日課のお散歩をしていた時のこと。
並盛に来てしばらく経つけれど、もうご町内なら絶対に迷わないし、ご近所の人ともちょっとだけ仲良くなれた頃……
決して相容れない存在と、私は相対してしまった。
「ウゥ…ヲウワウッ」
「っうぇ!」
そう、いつも会うたび会うたび追いかけてくるあの大型犬だった。
いかずちに導かれて 〜 IF CASE ランボ V 〜
朝の散歩はほとんどひとりでしているので、イーピンはいない。
イーピンは朝は庭とか公園とかで修行しているからだ。
今はまだ太陽が真上くるまであと2〜3時間はある。
よって、私はたったひとりでこの状況を乗り切らねばいけないのである。
犬の方も、いつも自分をことごとく叩きのめすイーピンがいないことに気がついている。
その証拠に、いつもは私を見つけた瞬間襲い掛かってくるのに、今はじりじりと
ゆっくり狩りを楽しむかのように迫っているのだ。
「ワウワウッ!」
だけど、私も今までの私とは違う。
この時を危惧して、散歩する時はこの間届いたランボさんを肌身離さずリュックのように背負っているのだ。
ランボさんは私の身長と同じくらいの大きさなので、前足を私の肩にかけるように背負っている。
そのランボさんからスタンガンを取り出そうとしたら、犬も不審な行動に気がついたのだろう。
いきなり走って覆いかぶさってきた。
「ぅわあっ!!」
「ウウゥゥッ!ワウッ!」
押し倒される瞬間に、私も犬にスタンガンを当てようと思ったのだが、それはかなわず、少し離れた場所に音をたてて転がった。
その間にも、犬は私の匂いを嗅いだり、べろんと舐めてきたり……。
「ひやぁっ、おいしくない!私おいしくないよ!!」
「グウゥウゥゥッ」
言葉が通じるはずもなく、私の悲鳴はなんの効果ももたらしはしなかった。
ちょうど今はあまり人気のない時間帯だし、誰も助けにきてくれそうな気配はない。
ジタバタと抵抗しようとしても、足でおさえつけられて動くこともままならなった。