遥かなる時空の中で

□◎使命の果て
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神子殿っ」
「頼久さん?どうしたんですか、そんなに息を切らして」
「いえ、先ほど藤姫の屋敷に行ったところ、神子殿が行方不明だと聞き探していたのです」
「えぇ!?・・・ごめんなさい、そんな事になってるなんて・・」
「いえ、ご無事でなりよりです」


私は今朝から、外の空気が吸いたくて大文字山に来ていた。置手紙をして出てきたのにこんな騒動になってるなんて思っても見なかった・・

「では、帰りましょうか」
「え?もう帰っちゃうんですか?」
「神子殿がまだここに居たいと仰るならお供いたしますが」
「・・じゃぁ、もう少しだけお願いします」


せっかくここまできて、もう少し風にあたっていたいというのもあるけど、頼久さんとも色々お話したいし・・

「あの」
「何ですか神子殿」
「どうして頼久さんは私を守ってくれるんですか?」


ずっと疑問に思ってた・・どうしてこの人は私を命をかけて守るなんていうのか・・

「神子殿は尊きお方。神子殿は私の主でございます、神子殿にお仕えし、神子殿をお守りするのが私の役目、この頼久、命をかけて神子殿をお守りするのでどうかご安心を」
「頼久さん・・」

違うのにな・・・私はただ自分の命を大切にしてほしいだけなのに・・

「頼久さんは・・間違ってます・・確かに私はこの京にとって大事な存在かも知れません・・でも私、誰かを犠牲にしてまでの命なんかいりません!!それが、もし頼久さんの命だったらなおさら・・」
「神子殿・・・」
「・・・私を守るって言うなら、自分の命も守ってくださいじゃないと・・私は」


いつまでたっても貴方に想いを伝えられない・・


「・・・わかりました、それが神子殿のご命令とあらば」
「これは命令じゃないです・・・約束です・・」
「神子殿・・・」
「・・・・・そろそろ帰りましょうか」
「はい・・・」


神子殿・・・私は怖いのです、身分という壁をつくっていなければ、どんどん私は惹かれていってしまう・・
貴女はいずれ元居た世界へと帰ってしまう
だからどうか主と護衛と言う壁から入ってこないで下さい
貴女が元の世界に帰ったあと
・・貴女を忘れられなくなってしまうから


「どうしたんですか頼久さん?」
「あ・・いえ、何でもありません」



だから、どうか私を神子殿の護衛としてお傍に置かせて下さい・・・
必ず貴女をお守りします・・・
貴女を守る八葉と共に・・

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