たいとる

□1、絆創膏
1ページ/1ページ




パタパタと。
走る足音、
君のもの。






鍵を開け、扉を開けば




「むー、くー、ろっっ?!」


どたっ。


(嗚呼全く。あれだけ走っちゃダメですよと言ったのに)



「おかえりなさいっ、」


笑顔全開で言われると。


(全く、部屋だから良かったものの、)



それにしてもどうしてこうも何もないところで派手にこけられるものなのか。


手を差しのべて体を引き起こす。


(僕の、、)



「今日も、お疲れ様でした!」



(宝物)



そっと頬に触れれば、彼女もこの手に手を添える。



大切にしているのに
日々キズが絶えない。

むしろ手や指はキズだらけで、またひとつキズが増えて。



『貴女はホントに…もっと落ち着いて行動して下さい』


床に救急箱を置くと、彼女はソファにちょこんと座る


僕に、少しでも美味しいものを、という努力は有難い話。



(ですが、)



『髪一本、肉体も精神も、人とのめぐりあい、輪廻も過去も現在も未来永劫引っくるめて全て』



床に跪くとソファに座った貴女は手と足を伸ばす


『僕のものなのに』



これ以上、傷を創らないで下さい。



ぺた。



















絆創膏
(日に日に増える絆創膏)



『いずれミイラ男の様になってしまいますよ』

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ