たいとる

□2、花火
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暗い闇に霧がかかり、更に濃くなる夜の夢。












ヒュルルルル…ドーン…


何処かで花火があがっている。


辺りは人気も無く静寂が広がっている。


逃げてきた。家から。
逃げてきた。孤独から。

逃げてきた。

…─世界の、すべてから





「もう、いいや…」


疲れ果てた表情に
枯れ果てた涙



私が、どうなろうと
家族が、どうなろうと

世界は、まわる。






ヒュルルルル…ドーン…



闇の中で膝を抱えてうずくまる。


「…ひとりぼっち」



左右の眼球の色が違う。


日本人の両親から産まれたのに。


(母さんの浮気疑惑で家庭が崩壊しそうになってるけど、母さんは浮気なんてしてないよ…今も、ずっと…)

(結婚したときから父さんの事だけ見てきた母さんを疑うなんて、)


(父さんも母さんも大好きだったのに、)



目を閉じると真の闇が広がる。



ドーン…


激しく疲労していたわたしは、そのまま深い闇に堕ちていった。



『…どうです、ここは心地よいでしょう』



目を開けると男の子が立っている。

……─オッドアイ。

一番みたくないもの。


フイ、と顔を背けると



『キス、していいですか?』


突然言われたもんだから、ポカンと口をあけて黙りこんでしまった。



『クフ、では、いただきます』


チュ、と軽く口づけられる。
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