りぼーん

□いままでも、これからも。
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「獄寺くん!」

ドアを開けると、そこにはピンク色の頬をした愛しいあなたがいました。


「誕生日おめでとうっ!」


*。・いままでも、これからも。・。*


どさどさっ

綱吉は、持っていたスポーツバックと紙袋を獄寺宅の床に置いた。
そして、ガラスのテーブルの前に、少し遠慮がちに
座った。

「どうぞ、」
獄寺は、おぼんにのせて持ってきたオレンジジュースを綱吉の前に置いた。
「あ。ありがとう」
綱吉は両手でコップをもちあげ、口へと運んだ。
「十代目、今日はきてくださってありがとうございます!」
獄寺も綱吉の前にあぐらをかき、嬉しそうに微笑んだ。
「俺こそ、急に泊りに行くなんて言っちゃってごめんね?」
「いえ、十代目ならいつでも大歓迎です」
綱吉がほっとしたように微笑む。
「どうしても、獄寺くんの誕生日だけはお祝いしたかったんだ。ふたりだけ…で…」
そう言って、少し恥ずかしがってうつむく綱吉。
「じゅ…だいめ…」

いつもは恥ずかしがってそんなこと言ってくれないのに、なんだか今日は素直で可愛らしい綱吉に獄寺は驚いた。
同時に、うれしさもいつもより倍大きい。

「俺も…誰よりも十代目に祝ってもらえるのが1番うれしいです」
「え、あ、りがと…」
照れて返事に困る十代目もかわいいなあ…。
獄寺が見つめていると、綱吉ははっと思い出したように紙袋を手にとった。
「獄寺くん!これ、ケーキ手作りしたんだけど…食べないかな…??」

じゅ、十代目の手作り!!?

獄寺の目はみるみるうちに輝き始めた。
「まじですか…!!いただきたいです!!」
「ほんとっ?あ、味は保障できないんだけど…」
「十代目がつくるんだから美味しいに決まってます!つーか、十代目が作ってくれたってだけで、俺めちゃくちゃ嬉しいっす…」
それを聞いて、綱吉の顔はほんのり赤くなる。

もう…獄寺くんって本当、こうゆうこと平気で照れずにいうよなあ…。
俺なんてこんなにどきどきしちゃうのに〜…。

「あっ、それでね獄寺くん。俺、プレゼントどうしようか本当迷っちゃって…それで考えたんだけど、いつも俺って獄寺くんに気を使わせてばっかりだから…今日は、俺にできることならなんでも頼んで?」
「え、そんなの、十代目……いいんですか…?」
獄寺が少し申し訳なさそうに問う。

あれれ?
もっと「だめです、そんな!」とか、「お、恐れ多いっす!!」とか言って断られるかと思ってたのに…
なんか、甘えて欲しいとこはちゃんと甘えてきてくれて、嬉しいなあ。
ちゃんと恋人として見てくれてるんだ…。

そう思うと、嬉しくて胸が締め付けられた。

「うん…何でも言って。そのほうが俺も嬉しいんだ」




「あのー…」
「何でしょう十代目!」

俺のことを輝かしい目で見つめる獄寺くん。
と、ピンク色のヒラヒラエプロン(趣味丸出し)を着てキッチンで料理する俺。

「えーと…できれば、あんまり見ないでください…」
包丁で野菜を切りながら赤面する綱吉。
「なんでですか、こんなかわいいエプロン姿の十代目、今度いつ見れるか分かりませんから、ちゃんと見ておかないと」
獄寺は、キッチンの横にちゃっかり椅子を持ってきて、足を組んで座りながら綱吉をじっと見つめている。
「うう〜」

そう。獄寺が最初に綱吉に頼んだのが、「夕飯をエプロンを着て作って欲しい」とのことだったのだ。

それにしても、
獄寺くんの視線が痛いよおおおお!
も、早く作っちゃお!

「ふ…い、たっ…」
突然、綱吉が小さな呻き声をあげた。
まさか指を切ったのかと、立ち上がり素早く駆け寄る獄寺。
「どうしたんですか十代、目っ…!?」
「ごっ、ごくえあくん〜〜〜」
みると、綱吉はどうやら玉ねぎを切っていたせいで、目にしみて涙がでてきてしまったようだ。
「玉ねぎやだ〜〜〜」
そう言って泣きながら玉ねぎをきり続ける綱吉が可愛くて、獄寺は思わず後ろから抱きしめた。
「わっ!?」
びっくりして小さく跳ねる綱吉。
「ど、しよう…なんか、もう欲情してきたんですけど…十代目…」
獄寺は、耳元でそうささやき、耳朶にちゅっと口付けた。
「っ…だ、だめだよっ…あとで、ゆっくり…しよ…っ?」
「…わかってます…でも、ちょっとだけですから…」
いいながら耳の穴に舌をねじ込み、舐め回す獄寺。
「ふあっ、や…!」
「かわい…ってか、十代目まじ感度良過ぎっすね…」
「あっ、そ、な…っん」

綱吉の力が抜けそうになった時、獄寺はぱっ、と手を放した。
「これでなんとか夜までもちそうですっ」
「も〜、包丁落としちゃいそうだったよ」
「すみません」
続けてください、と言って、獄寺は椅子に座り直した。
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