りぼーん

□甘えさせたい
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「はぁ…」

ケータイの画面を見ながら、獄寺は溜息を吐いた。
今日も、雲雀からメールが来ない。
何日ぐらい続いているだろうか。最近の雲雀は風紀委員会の仕事で忙しいようで、校内で会えば少し言葉を交わすくらいで、メールもなければ電話もしていなかった。
「さびしい…」
ぽつりとつぶやいた。
丁度期末テスト前で、勉強に集中できるから良いものの、雲雀なしの生活は獄寺にとってさびしいものだった。
だけど、俺のわがままなんかで雲雀の仕事を煩わせたりしたくないし、雲雀の仕事が落ち着くまで自分から求めたりしないようにしよう、と決めた。


「っうぁー」
ずっと机に向かって勉強していた獄寺は、うんと背を伸ばし立ち上がると、コンビニに向かうことにした。
ケータイの受信箱をチェックするが、やっぱり雲雀からは来ていない。
そのままケータイをポッケに押し込み、コートを羽織って玄関に向かった。

外に出ると、さすがに冬は寒く、冷たい空気が身体を震わせた。
「さっび… !?」
獄寺が歩き出した途端、後ろから何者か2人に腕を拘束され、身動きが取れなくなった。
「おい!!てめっ、はなせ!!」
必死に抵抗するが、2人がかりの男に掴まれてしまえばどうしようもない。
足で蹴りを入れようとした時、もう1人の男が、小瓶に入った薬のような液体を獄寺の喉に無理矢理流し込んだ。
「っ…く…う……」
なんとか呑み込むまいとするが、息が絶えられず、喉に生ぬるい液体が流れ込むのを感じた。
その途端、ゆっくりと瞼が重くなり、身体に力が入らなくなる。
(…睡眠薬…かよ…っ)
獄寺の視界はゆっくりと闇に包まれていった。
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