闇の正義

□異界の戦艦
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BC「叶うはずが無い。神の領域だ」


世界再生など、それこそ、ベクターシグマ以上の創世の神の領域。此処を離れようと思い、エンジン室を後にした。深い溜息が漏れる。何だか、あの部屋は妙な感覚がした。自分が自分で無いような。いや、とても、不思議な感覚。良く分からない、言葉では説明が難しい。とても奇妙な感覚だった


BC「・・・俺で無いのに、俺の記憶を見た所為だな」


そう結論付けた。この妙な感覚は、自分ではない、異界の自分の記憶を見た所為なのだと。そう思いながら、通路を歩いて行った




エンジンの駆動音でヴァロックは目を覚ました。ムクッと起き上がり、寝起きの意識をはっきりと覚醒させていく


「・・・敵、か」


ベッドから立ち上がり、椅子に掛けてあったマントを身に付け、バサリッと翻し、ヴァロックはイデアを呼ぶ


イ「お呼びですか?」

「あぁ。総員、戦闘配備」

イ「了解しました」


鳴り出した警報にビッグコンボイは船橋へと向かう。中に入ると其処には、既にヴァロック、ロラン、ヴォルフが居た


LV「・・で?状況はどうなんだい?船長殿」

「・・このまま行くと約600秒後には、射程圏内に入る」

VF「ふむ。此度はどのようにするのかな?船長」

「・・いつもと変わらず、だな。この世界の者ならば良かったのだが」

LV「了〜解♪なら、今回は、俺達だけってわけでいいわけ?」

「・・・あぁ」

LV「じゃ、先にデッキに行ってるかなぁ〜」


ロランはテクテクとその場を後にした


BC「警報が鳴ったが、何事だ?」

VF「おや?・・大したことじゃないよ」

BC「警報が鳴ったのに、か?」

「・・・あぁ」

VF「今回は、ね」

BC「?」

「・・ヴォルフ」

VF「ん?」

「後は、任せる」

VF「・・了解したよ、船長」


彼は、ビッグコンボイの横を通り、部屋を出て行った


BC「・・・」

VF「君は、行かない方が良い」

BC「?どういうことだ」

VF「今回は、この世界の者ではないからだ」

BC「!やはり、オマエ達の敵は、あの2人と同じ、異界のTFなのか」

VF「・・そうだね。敵だよ」

BC「奴等の目的は何だ?」

VF「奴等?」

BC「敵がこの船を狙う目的だ。オマエ達が集めている鍵か?」

VF「アンゴルモアカプセル、という選択肢は無いのかね?」

BC「無い。そうであれば、俺達が既に遭遇しているはずだ」

VF「・・なるほど。ふむ。当たらずとも遠からず。いや、半分正解と言うべきか」

BC「?どういうことだ」

VF「そのままの意味だよ。奴等の狙いは鍵だけではなく、この船・・いや、この船のエタニティ機関そのものだ」

BC「?!・・なに?」

VF「それを知る者は、私を含め、船長と副船長ともう1人くらいだね」

BC「?もう1人?」

VF「・・うん。君はまだ会っていないと思うね。何れ出会うことになるだろうけど」

BC「???」

LV《もし、も〜し、戦闘配備中だぞ〜〜》

VF「おっと、これは悪かったね」

《ヴォルフ、舵は任せる》

VF「おやおや、か弱い医者を舵取りに使うのかね?」

《・・フッ、寝言は寝て言え。か弱い医者なら、研究を邪魔されてリペアしたり、逃げ出そうとした患者に向かって、スパナを投げ付けたり出来るか》

LV《あぁ〜、確かに〜。ついでに以前は、メスが飛んできたなぁ〜。俺、ちょうど入り口に居たからさぁ〜・・・死ぬかと思った。マジで》

VF「居るじゃないか。此処に♪」

《か弱いではなく、怖いの間違いだろう?》

VF「フフ、否定はしないよ」

《・・そこはしろ。一応、医者として》

VF「フフフ、まぁ、了解したよ、船長殿」


そう言い、舵を手にした。敵艦を確認し、ヴァロックとロランは外に出て、攻撃を開始している。敵艦の方も大砲などで砲撃してくる。ヴォルフは舵を回す


VF「迎撃!おら!そこ、レーダーしっかり見てろ!!来るぞ!気合入れろよ!野郎ども!!」

船員「お〜〜!」

BC「・・・・・・キャラ、変わり過ぎないか;;」


ヴォルフのいつもののほほんさは何処へやら。船員を叱咤し、奮い立たせるように叫ぶ。しかも


VF「ちんたらしてんじゃねぇぞ、そこ!ぼさっとしてやがる奴は、あとでリペアしてやるからな!!」

BC「・・・;;」
(ある意味、敵より味方の方が恐ろしいな;;)


そう思っているとロランから個人回線へ通信が


LV《ヴォルフは、船の舵を握ると人が変わるから・・・面白いよねぇ〜》

BC「・・・変わりすぎ、だろう;;」

LV《アハハ、そうかもね〜》

《ロラン。無駄口を叩いている暇があったら、早く沈めろ》

LV《はいはい》


船の方へ繋がるヴァロックの声


《ヴォルフ》

VF「何だ?」

《遠慮は要らん。やれ》

VF「了〜解」


そう聞くとヴォルフは艦内放送を掛ける


VF「野郎ども!衝撃に備えろよ!!耐えられねぇ奴は、何かに掴まってろ!!」


そう言うと同時にヴォルフは舵を目一杯回す。一気に進路を敵艦に


VF「イデア!」

イ「エリュイス、突撃モード。バリアシステム前方、出力最大」


前方のバリアシステムを最大にし、突っ込むと船に衝撃が入るが、船は無傷で敵艦を真っ二つにしてしまった


BC「っ」

イ「敵艦、撃沈。バリアシステム10%ダウン」



その頃、外に出て戦っているヴァロックは


「・・いける。エタニティリンク、セットアップ」


ヴァロックは、エタニティ機関と繋がることが出来る。その能力を利用して、エタニティ機関のエネルギーをヴァロックキャノンに込めるとヴァロックキャノンの姿が変わる


「エタニティバスター、GO!」


放たれたビームはビッグコンボイのマトリクスバスター以上の威力であろう。そのビームは敵艦を飲み込み、2隻を消滅させた


BC「・・・なんだ、あの、威力は;;」

VF「仕組みとか能力は良く分からねぇが、船長はこの船の動力とリンク出来るんだそうだ」

BC「それを、キャノンに込めた、と?」

VF「そういうことだ」

BC「・・・・・・」



ヴァロックは、元の姿に戻ったキャノンを下ろすとロランから通信が入る


LV《お〜い、船長〜》

「?なんだ」

LV《貴重な補給源、破片も残さず消滅させちゃ、いかんっしょ?》

「問題ないだろう?ヴォルフの沈めたのとオマエが沈めた2隻もあれば十分だ」

LV《・・まぁ、中にどれだけ残ってるかだけどなぁ〜》

「・・足りなければ、商業惑星にでも行けば良い」

LV《・・ま、そうだけどね〜》

「・・・補給隊を向かわせろ。オマエは沈めた方へ行け。船が沈めた方は俺が行く」

LV《了〜解〜♪ぁ、ていうか、2つとも俺が行ってくるよ。今は急ぎじゃねぇしよ》

「?別に構わんが」

LV《じゃ、補給隊は1つで良いな♪てわけで、オマエはさっさと船に戻って、怪我、治してもらえよ〜》

「・・・・・・」

LV《ヴォルフには、伝えてあるから、逃げられないぜ〜》

「・・・ただの掠り傷だ」

LV《だ〜め》

「・・・」


ロランは通信を切った。溜息を吐いて、船に戻るとそこで仁王立ちでスパナをクルクルと指で回しつつ、ニコニコしているヴォルフが待ち構えていて、さらに溜息を吐いたヴァロック


「・・・掠り傷だと言ったが」

VF「ぅん。これで掠り傷とか無いからねぇ。明らかに切り傷だよ」

「・・・」

VF「はい。次」

「・・・」

VF「脱がなきゃ、脱がすよ」

「・・・・・・」


再び、溜息を吐いて、服を脱いだ


VF「ぅん。はい、おしまい」

「・・・だから、掠り傷だと」

BC「・・・」


ヴァロックは溜息を吐く。ビッグコンボイも「確かに」とそう思っていた


VF「船長の場合、掠り傷でなくても、掠り傷だと言うだろう?今まで、それで何回死にかけたかな?」

「・・・;;」

BC「・・それで、これなのか;;」

VF「そうだよ。なので、船長が戦闘に出た際は、必ず、要チェックするようにしてのだよ。艦内の設備にも限界があるからね」

BC「・・確かに、そうだな」

「・・・もう良いだろう?」

VF「もちろん」

「・・あとでロランに、補給してきた物資はアイツを通すようにと伝えておいてくれるか」

VF「了解、船長」


ヴァロックは、立ち上がり、マントを肩に掛けて、立ち去った


BC「・・・奴は、いつも、あぁいう」

VF「ん?それは、素っ気無いって意味かな?それとも・・・自分に関心の無いことかな?」

BC「・・・」

VF「ん〜、関心が無いのかどうかは分からないが、そうだね。彼が関心があるのは、この船くらいだろう」

BC「・・・」


ビッグコンボイはヴォルフと分かれてから訓練室に来た。考えていても仕方が無いと思ってやってきたのだろう。だが、其処には、先客が


「?なんだ、オマエも鍛錬か」

BC「・・・あぁ」


ヴァロックがタビストンファーを持っていた。鍛錬中だったのだろう、少し汗ばんでいる。ビッグコンボイは彼の横を通ろうとしたが、擦違い様に素早くマンモストンファーを取り出し、攻撃を防いだ


BC「・・・何の真似だ」

「1人でするのも、やり応えが無いだろう?付き合え」

BC「・・・おもしろい」


バッと距離を取る。何が合図と言うわけではないが、2人は模擬試合を始めた。暗黙の了解なのか、互いにキャノンは出さない。重火器無しの近接戦闘訓練、というわけなのだろう
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