闇の正義

□2人の思い
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BC「・・オマエは、ロランよりもアイツと仲が良いのか?」

FV「ぁ?キャプテンのことか?いんや、仲が良いかっていったらそうじゃねぇと思うぜ。ついでにいやぁ、キャップよりゃ、年上だしよ」

BC「?幾つだ?」

FV「ケケケ、俺のか?幾つに見える〜?俺はな、ヴォルフよりは年下で42だぁ〜」

BC「!?ヴォルフは?」

FV「ヴォルフはなぁ、47だぜ〜」

BC「・・・コンボイよりも、年上;;」

FV「あぁ〜、そうだな。ま、俺は年なんて気にしたことは無いがなぁ〜、ケケケ」

BC「・・・」

FV「あぁ〜、にしても、異界の〜でも、やっぱ、同じなんだな」

BC「?何がだ」

FV「同じってことだ」

BC「・・オマエも異界の」

FV「ん?あぁ。以前は、破壊大帝のとこに居たぜ。あと、ヴォルフもそうだ。何なら、アイツの履歴、本部にあるんだろ?調べてみろよ。出生とか他、不明になってるだろうぜ」


作業を止めずに言う、フェイト。ビッグコンボイは彼の「破壊大帝のとこ」という言葉にピクリと反応する


BC「一体、誰のところだ?あの、紫トカゲか?それとも、セクハラトカゲの方か?・・それともまともだが派手なピンクドラゴンか」

FV「・・・あぁ〜、そこから推測すると〜だな〜。セクハラの方じゃねぇか?紫トカゲってぇと〜、ロランの親父だろ?ピンクドラゴンは分かりやすいな。ガルバトロンか。セクハラトカゲは、マグマトロン、であってるか?」

BC「・・あぁ」

FV「んじゃ、あってんな」

BC「・・異界でも、あのトカゲはセクハラだったのか?」

FV「あぁ〜、セクハラって言うか〜〜。まぁ、アンタと良くやりあってたけど」

BC「・・・」

FV「ぁ、そういやぁ、良く、彼女取り合っての殴り合いが多かったが」

BC「・・・・・・・・・・・・は?彼女?」

FV「そ、彼女」

BC「誰の?」

FV「アンタの」

BC「誰と誰が?」

FV「アンタとマグマトロンが」

BC「・・・俺に彼女は居ない」

FV「異界の、な」

BC「・・決着はどうなったんだ?」

FV「ぁ?まぁ、その彼女が、キャプテンの母ちゃんだからな」


つまり、自分が勝ったということか。異界の自分であるぶん、複雑な思いのビッグコンボイ


FV「ま、ぁの旦那には勝ち目無かったんだろうけどな。何しろ、彼女もサイバトロンだったわけだし」

BC「・・・」

FV「ぁ、でも、前は良く俺と旦那で取り合ったもんだったんだぜ」

BC「?誰を」

FV「アンタを」

BC「は?」

FV「マグマトロンのとこに居たのは、俺と奴が戦友だったから。そしたら、強ぇ奴が出てきた。だから、どっちが奴を先に倒すかでバトって、どっちが先に行くかでもバトった」

BC「・・・」

FV「ま、俺は、ワームホールに落っこちてコッチに来たから、その後どうなったかは知らねぇが、確か、奥さん、亡くなったって話は聞いたがな。生んでって訳じゃねぇらしいが」

BC「・・・・・・そう、か」

FV「あぁ。あと、亡くなったって噂を聞いてからすぐに、伝説の戦士が本部命令で、伝説の機関を積んだ船の主に任命されたって噂も聞いたな」

BC「・・伝説の機関、それが、このエタニティ機関というわけか?」

FV「あぁ。此処まで安定してるってことは・・・・・・まぁ、予測はつく」

BC「?」

FV「知らねぇ方が良いと思うぜ」

BC「・・この船のこと、それからこの機関のこと、知っているような口ぶりだな」

FV「あぁ。知ってる。俺は、故郷じゃ、名〜知れててな〜。ま、良く分からねぇが。ヴォルフと似た感じだなぁ〜。アイツ、色々知ってるから、「歩く図書館」なんて言われてんだけど、俺は、「歩く科学書」とか「歩く伝書」とか言われてる」

BC「・・・それは・・あれか?宇宙船とか、機関とかそういった、機械類に詳しいと、そういうことか?だが、伝書?」

FV「あぁ〜多分な〜。伝書って言うのは、伝承や伝説、古い文献とかだ。ま、否定はしねぇけどな。そういうの、好きだし。この世界に来てからは、デストロンに再度ってぇのは面倒だったんで、考古学とか古い文献紐解いて、トレジャーハンターをやってたけど、キャップとは以前からある程度は知り合いだったから、入った。ま、今の方が充実してっから、良いけどな」


カチャカチャと今度は、別の部品を直し始めてた。フェイトは直すのに集中しだしたらしく、ビッグコンボイもこれ以上は聞けそうに無いと思い、場を後にした。彼が去ってから、フェイトは、動かしていた手を止める


FV「・・・そう、オマエは知らなくて良い。エタニティ機関は元は、爆弾にも等しい不安定な機関。それが今は、こうも安定している・・・それが何を意味するのか、何故なのかなんて、知る必要は無いんだよ、この世界のビッグコンボイ。何れは知るかもしれない。だが、今は必要ねぇんだ」


船の駆動音が聞こえた。それが、何処か、咎めるような感じに聞こえる


FV「・・言い過ぎだってか?良いだろ?何れ、知ることになる。キャプテン・・・ヴァンロックガイスの目的も。何もかも。だが、今はまだ知る時じゃねぇ。そんなことは俺にも分かってんだよ・・・・・・・・なぁ、若き日の〜〜よ」


最後の言葉は消えそうなほど、小さな声で呟いた。天井を見上げて、フッと哀しげに笑みを浮かべた




ビッグコンボイは、外に出ていた。町へ行くと何だか騒がしく、活気に満ちていた


BC「?」

VF「お?やっ♪君も来たんだ」

BC「・・ヴォルフ、これは」

VF「何でも、今日は祭りだそうだよ」

BC「・・そうか。それで」

VF「祭りは経験があるのかい?」

BC「・・あぁ。そんなに経験があるわけじゃないが」

VF「そう。ま、今日は、日没までにという話だが、ヴァロックに一言言っておくべきだろう。彼は外に出ることは殆ど無いだろうからね」

BC「その必要は無い。奴なら、来ているはずだ」

VF「おや、珍しい」

BC「確か、フェイト、だったか。奴の部品を入れる箱を買うと言っていた」

VF「あぁ〜、フェイトか」

BC「オマエも異界のTFだと聞いたぞ」

VF「おや、お喋りな子だ。その通りだよ。この世界での私の出生などは分からない」

BC「・・・そうか」

VF「さ〜て、私は、もう少し見てから帰るとするかな。ではね」


ヴォルフは、スタスタと先へ行ってしまった。ビッグコンボイは祭りならではの騒がしさに眉を寄せる


BC「・・・騒がしい」


「早く帰ろう」と呟くが、ふと目の前の屋台に並ぶものに視線がいった


ペロリと林檎飴を舐める


BC「・・以前、行った祭りには無かったな」


ビッグコンボイは満足気に片手に林檎飴を持ち、人気の無い町外れへ歩いていく。ちょうど、船と町の真ん中くらいの距離まで来た。此処暫く、戦艦内で過ごしてきたから、こうして、外に出たのは久しぶりのこと。異界の敵との戦闘では、ヴァロックとロラン。それ以外の戦闘でも、カーティスの者だけ。アンゴルモアカプセル回収も同じく。ビッグコンボイは、サイバトロンであるから、余計にではあるが、こう何も出来ないというのは、彼としては、ストレスが溜まる。教官業であっても、最終的には自分が出撃していた為、運動不足ということは無かったが、今回は、そうではない。最近はヴァロックと手合わせをする機会が増えた分、運動不足やストレスはやや解消されてきてはいる。だが、やはり、溜まっている。だから、今回は、外に出られたから、少しは紛らわせることが出来ている


BC「・・・」


溜息を吐く。1人で宇宙を飛び回って居たい。だが、今は、この任務を優先しなければならない。何より、自分から進んで引き受けた任務でもあるし、尊敬するライオコンボイから期待されている分、余計に頑張らねば


BC「・・・ん?」


ふと影が差し、空を見上げれば、巨大な黒い鳥が上空を通過していった。その鳥は足に箱を掴んでいる


BC「・・・あれが、キャプテン・ヴァロックのビーストモード、か」


確かに大きいと思った。何しろ、あの始祖鳥のアルカディスよりも大きい鳥だったからだ。さて、自分も帰ろうと船へ足を進めた。帰ると其処には、ロランが居た


LV「やぁやぁ、おかえり〜なさいでの〜♪」

BC「・・・あぁ」

LV「・・・スルーしたよね?軽〜く、傷つくよ」

「・・よく言う。傷つくような心持でもないだろう?」

LV「・・君も酷いよね」

「?」

LV「ま、良いけど〜、で、どうするんだべさ?多分、全員、集合時間護らないよ〜」

「・・・あぁ。だが、特に急いでいるわけでもない。明日までは滞在していても支障は無い」

LV「ふぅん。そう。なら、もうちょい、遊んでこようかしら〜」

「・・好きにしろ」


ヴァロックは、手にしたイチゴ飴をペロリと舐めつつ、奥へ入って行った


LV「・・・やっぱ、親子だよね〜、君達」

BC「?」

LV「あっちは、イチゴ〜。で、君は、林檎〜ってさ。在り来たりだべ?」

BC「何が在り来たりなのか分からないが、俺と奴は親子ではない。何度も言うが、俺は独身だ。未亡人でもなければ、彼女が居るわけでもないし、まして、子どもなど居ない」

LV「・・・ね、それ、自分で言ってて、哀しくなんない?」

BC「ならない」

LV「そう。なら、良いけど〜」

BC「俺も聞きたいが」

LV「ん?なに?」

BC「・・そんなに似ているのか?俺と異界の俺は」

LV「似てるかというより、そっくりだべさ。いや、まったく同じと言うべきか。でも別に同じでも驚くことじゃないさ〜な。何せ、別世界だろうと同じ。ビッグコンボイなわけだから」

BC「・・・」

LV「そういうのは、異世界、至るところに存在するのよ。根源、魂が同じ。そんなのマルチバースには多くあるんよ。た〜だ、それは千差万別〜。生きてきた歴史とか〜、まぁ、そうしたものは世界によって異なるから、他人であることは確かだろうけどね」

BC「・・・」

LV「だから〜、例え、君に恋人が出来て、結婚して、子ども出来ても、それが我等の船長とは限らない〜とか、ま、そういうことだね」

BC「・・歩んできた人生が異なれば結果も異なってくる、と?」

LV「まぁ、そういうことざんす〜」

BC「・・・オマエは」

LV「ん?」

BC「異界の俺を知っているのか?」

LV「名だけね。父親の方には会ったことは無い。会ったことがあるのは・・・あぁ〜、フェイトには会った?」

BC「・・あぁ」

LV「そっ。此処の連中で会ったことがあるのは、船長以外だと、あの篭り鳥竜くらいだ〜よ」

BC「・・オマエはヴァロックとは親友なんだろう?」

LV「あぁ。強敵と書いて、友と呼ぶ的な感じでね。目的とか、聞いちゃダ〜メ。そこは俺にも分からない〜。ただ、分かるのは〜、この船も関係しているってことくらい〜」


ビッグコンボイは、思う。「なら、何故、行動を共にしているのだろうか」と。だが、その答えはすぐに返ってきた


LV「俺はね〜。アイツが何をしたいのか、知りたいし〜。アイツがどう変わっていくかが、見たいの〜よ。目的とかそんなのは、知らない。世界とか、そんなの興味ないね。ヴァロックが行く先が何処に繋がるのか、それを見たい。悪趣味でしょ〜」


ニヤッと笑うロランにビッグコンボイは「本当に悪趣味だ」と思いながら、彼から離れていった。ビッグコンボイが去って、ロランは手にしていた串焼きを食べている


LV「理屈じゃないんだよ。俺は、本当に見たいだけだ。アイツの結末を」


何も刺さっていない棒を口に咥えて、それを歯でブラブラと上下に揺らしながら、上を見上げる


LV「本当に、どうしょうもないよねぇ〜。無駄な足掻きして、それが、何かを変えることもある。アイツはこの船を護る為なら何でもする。俺がアイツと居るのは、アイツが馬鹿な真似して死なないように見張るのが俺が行動を共にする本当の理由。渡さない、誰にも。ぁのフラ鳥にも」




そう、渡さないよ





アイツの魂は





俺のものだ






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