*短編*

□子供好きはどっち?
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「おいで〜!! 柊〜!!」

最近、佳乃が構ってくれねぇ…。
結婚して子供が産まれてからというもの子供子供子供…!

あぁ! イライラする…!!

「本当に可愛いなぁ…柊はっ」

仕事から帰ってきても気づかない佳乃。
二度位ただいま、と言ってみるものの柊、柊…。

女は結婚してガキが産まれたあと、男はどうでもよくなると聞いた。
嫌みな、大っ嫌いで殺したい程ムカつく臨也に柊が産まれる少し前に聞いたことだ。
そう言われた後、臨也は「シズちゃんも気を付けなよ〜」なんていいながら逃げやがった。

玄関でイライラしていると佳乃に抱っこされた柊が俺を指差して…

「パ…パ?」

と首を傾げてにこっと笑って言った。
それに思わず可愛い、と思った瞬間、佳乃も俺に気づく。

「あ、パパだね〜、柊〜」
「マーマ?」
「きゃーっ! 名前呼んだ! 名前呼んだよっ」

そういって佳乃が柊を抱き締めると柊はすげぇ喜んで。

いつもなら俺が抱き締められてたのに…。
なんなんだよ…
くそっ、イライラする…。

…イライラするから、佳乃に嫌がらせをすることにした。

「おい、佳乃」
「なにー?」

俺の方を一切向かずに柊の相手をするその背中を抱き締める。

「ふぇ?! ど、どうしたの…パ…んっ?!」

立ったまま腰だけ屈めて俺の名前を呼ばない佳乃の口を自分の口でふさいでやると佳乃は目を見開いて。
久々のキスを味わいながらやっぱり可愛い、なんて思ってしまう。

「んっ…んぅー!」
「…あ、悪ぃ」

パッと口を離すと佳乃は息を整える。




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