*短編*

□ある意味『非日常』
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「うわ〜…これ可愛い〜!!」


池袋で彼女の佳乃と買い物。
佳乃はするとある店のショーウインドーに飾ってある人形に目を奪われる。
思わず僕も目を向けると…

あまり可愛いとはいえない人形が飾ってあった。

「…それ、あんまり可愛くないよ…」
「むっ、何よ帝人〜。こんなに可愛い人形見たの初めてだもん!」

本音を口にするとそう言われた。


佳乃は正直、人との好みがズレてると思う。


人形だってそうだけど…

そもそも僕と付き合うっていうのもズレてる。
なんだか入学式の時に一目惚れされたみたいで。
同じクラスになってしかも隣の席というありきたりなシチュエーションでいきなり告白された。

紀田くんとか他の男子の方がかっこいいのに…。

そう思っているとその様子をなぜか違うクラスのはずの紀田くんが見ていて大声で何かを叫んでいた。
どうやら佳乃は入学式から美人で有名だったらしく。


まあ…結構成り行きだったけど僕も佳乃の事を好きになったから今では嬉しい。

「ねーねー! このキーホルダーあったらお揃いでつけよっ!」
「! あったらね…」
「わ〜い! ありがとう、帝人! 大好きっ!」
「うわっ!」

人が多く行き交うなか抱きつかれて顔が熱くなるのを感じる。

「じゃあ早く買いにいこっ!」
「だからあったらね…」

ぐいぐいと店の中に引っ張られて仕方なくついていく。

中は意外にも女の子の好きそうな物がたくさんで、店の中には女の子ばかりだった。

その中に男が一人いるのはおかしいわけで。
そんな僕にはお構い無しにさっきのぬいぐるみを見つけた佳乃。
手を繋がれてそのぬいぐるみと同じグッズがおかれている場所までつれていかれる。

それはやっぱり可愛いとは言えなくて顔がひきつる。
でも佳乃が本当に可愛いと言いながら抱き締めるからなんてなく可愛く見えてきた。






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