Rikkai

□手が伸ばせない
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間接照明に照らされた、薄暗い天井を見上げる。

蓮二らしく、シンプルだが品のある部屋だ。

ベットは、少し狭いけれど。





情事の後の独特のけだるさを、私は好きになれなかった。

いきなり現実に引き戻される感覚と共に、寂しさと少しの虚無感に襲われるからだ。



女の子は誰だって、出来るだけ長く夢を見ていたいものだ。

…きっと、そう考えるのは私だけじゃない、はず。






隣で規則正しい寝息を立てる蓮ニを盗み見る。

この時しか、私は蓮ニを見つめることが出来ない。


というより、普段は蓮ニを見ないようにしている。

彼の視線の先にいる人も、視界に入れなければならなくなるから。





きっと、頭が良い蓮ニのことだから、私が考えていることは全てお見通しなのだろう。

それでも何も言えない私を部屋に呼び、ひと時だけでも甘い夢を見させる彼は、とても残酷な人だ。


まぁ、着いていく私も私なのだけれど。










現実を見たくなくて、
ぎゅっと目をつぶった。



あと少ししたら、私は脱ぎ散らかした服を着て何事もなかったように部屋を出るのだろう。

私が居た痕跡など微塵も残さずに。








蓮ニの手に私の手が当たった。

温もりを求めて少しだけ手を伸ばしたけど、

すぐに、止めた。










手が伸ばせない








(例え手を伸ばしても、)

(きっと何も変わらない。)




(温もりなど、)

(期待してはいけない。)





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