Rikkai

□王子様のキス
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「はぁ…。」



思わず溜め息。

だって、自分の彼氏が告白されてる現場を見ちゃったんだもん。



もちろん断ってくれていたけど、気持ちは複雑。

やっぱりモテる人なんだなぁと、実感。




おかげで、こうやって雅治の部屋で2人で過ごしている今だって、
何となく胸の奥が苦しい。









「…何で、断ったの?」



「何でって…俺にはお前さんがいるじゃき、当たり前じゃろ。」






「そう、なんだけどさ…。」







そうなんだけど、
そうなんだけど、

やっぱり自分に自信がないから、
不安になっちゃうよ…







「だって、綺麗な人だったし。」



「俺はお前しか見とらん。」



「………。」






「…ふぅ。

お前さんは、うたぐり深いのう。」



「ごめん…」






あ、やばい。


何だか涙が出そう。












「いや…良い機会だし、

一度はっきりしといた方が良いかもしれん。」



「えっ…」






そう言うと雅治は、

床に座っていた私を抱き上げて、
ベットの端に座らせた。



そして雅治は、

私とは逆に床に座った。



…いや、“ひざまずいた”っていう表現の方が正しいかも。



そして、私を見上げこう言った。





「仁王雅治は、


お前さんを愛しとる。


いつまでも、な。






お前さんが許してくれる限り、


お前さんの隣にずっとおる。


そして、


お前さんを守り続けることを誓う。」






そして雅治は、

おもむろに私の手を引っ張り、


私の手の甲にちゅっ、とキスをした。









王子様のキス




(お前が不安になるなら、)

(何度でも誓ってやるぜよ)




(…気付いてしまった。)

(この人が、私の最初で最後の王子様なんだと。)





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