Rikkai
□世界で1番
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世界で1番好き、なんてよく聞くセリフは、よく考えたらすごく抽象的な言葉だ。
そもそも世界って何?どこからどこまで?
好きなんていう実体のない感情に、世界で、なんていうものを重ねるのがもはや間違っているんだと思う。
それに、1番なんて軽々しく言うけど、他人と感情を比較するなんて無理な話だ。他人に負けたくないという気持ちは分からなくはないけど、勝手に他人の気持ちの度合いを量るのは自己中心的な考えだ。
うん、
…分かってる。
その理屈は、よく分かってる。
世界で1番、だなんて言葉、軽々しく使っちゃいけない。
ただ、
ただ、
今のあの人への気持ちを上手く表現できるほど、
私のボキャブラリーは充実していない。
たかだか10年ちょっとしか生きていないガキンチョが愛だの恋だの好きだの叫ぶのは、
大人からしたらすごくくだらないコトなのかもしれないけど。
でも、この私のちっぽけな世界の真ん中に堂々と居座る銀髪は、
間違いなく私の心を掴んで離さない。
それだけが、
ゆるぎない事実。
世界で1番
(私のちっぽけな世界では、)
(間違いなく貴方が1番なのです。)
(嗚呼早く、)
(この気持ちを伝える術を教えて下さい。)
(誰か。)