Hyoutei

□始まりは保健室で
1ページ/1ページ




今日の体育は男女混合バスケットボール。

運動神経があんまり…

…いや、かなり良くない私は、
応援部隊に回っていた。


―そして、その中で、
どうしても目が行く男の子が1人。



背は小さいのに、

無駄にピョンピョンしてて、


髪の毛が真っ赤で、

無駄にピョンピョンしてて、


クソクソ言ってて、

無駄にピョンピョンしてて…






…それが、向日岳人君。


クラスは一緒だけど、
比較的目立つ彼と話したことはあまりない。

でも、何だか目で追ってしまう。


私みたいに何の取り柄もない子からすると、

彼は眩しい存在なのかもしれない。



明るくて、
自由奔放で、
クラスの中心で。




でも、この気持ちは、

"羨ましい"というよりはむしろ…








「―ぁぶないッ!!」



その声にハッと我に返ったけど、時すでに遅し。

目の前にドアップで現れた茶色の球体を認識すると同時に、
私は意識を手放した。










目を覚ました時に、

1番最初に視界に入って来たのは、

鮮やかな、赤。



「おっ、目ぇ覚ましたか?!」


そして、聞き覚えのある声。







…ぼんやりとした意識の中で、

私はその赤色に向かって手を伸ばした。




そう、ずっと、触れたかった、それに。




―やっぱり、サラサラしてて気持ちいいなぁ。





一瞬、その赤色がビクッと揺れた気がしたが、

また急激に襲われた眠気には逆らえず、

私は再び意識を手放した。






始まりは保健室で






(な、な、な、なんだよいきなり!!)


(…あ、でも、)
(寝顔かわいい、かも)








2人が恋に落ちるのは、
そう遠くない未来。


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ