Higa

□この想いを君に
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私の彼氏の知念くんは、とても寡黙な人だ。

それでも、彼のさりげない優しさに惹かれて、私から告白した。


もちろん、知念くんと付き合うことが出来て本当に本当に幸せ。



ただ、やっぱり、
一緒に居るからこそ不安になることがある。




知念くんは、

私のこと、好き?

私と居て、幸せ?



1度で良いから、
知念くんの気持ちが知りたい。。







だから私は手紙を書いた。

口数が少ない彼でも、

もしかしたら手紙なら書いてくれるかもしれないと思ったからだ。




…案の定、知念くんは返事をくれた。

几帳面な彼らしく、私が渡した次の日には下駄箱に手紙が入っていた。



どきどき。




心拍数が上がるのを感じながら、
手紙を開いてみると




『今日の放課後、

一緒に帰ろう。』





と、一言。



…それだけ?

どきどきしていたぶん、

若干の、肩すかし。






いやいや、

でも、


まさか。



直接答えてくれるの…?





今日の授業が頭に入るはずもなく、

あれやこれや考えてたら、
あっという間に放課後になった。








帰り道。

お決まりのデートコースは、

手を繋いで海沿いの道を歩くこと。



身長が高い彼と視線を合わせるために、

私だけ防波堤の上を歩く。


もちろん、手は繋いだまま。





私は、この帰り道が大好きだった。

普段知念くんが見ている世界を覗いているようで、

知念くんの考えてることが分かる気がしたから。






「…ごめん。」



しばらくの静寂の後に話しを切りだしたのは、

珍しく、知念くんだった。



「わん、

色々と、

口に出すの苦手だから、

きっと、

いっぱい、

不安にさせたと思う。」



「…うん。」




握っている手が熱くなっていくのを感じながら、

彼の貴重な言葉を聞き逃すまいと、

ひとつひとつを噛み締めながら言葉を待つ。




「だけど、

だけど、

やーのこと」






この手が熱いのは、

果たしてどちらの熱なのか。





「…愛してる。」





とくん。





嬉し過ぎて、


知念くんの顔が見れない。


見れないよ、知念くん…






「やーと、

一緒に居ると、

でーじ、

…幸せさー。」





「手紙に、

書こうかとも思ったけど、

やっぱり、

直接言わなきゃ、と思ったんさー。



やーのこと、

大切、やっし…。」





「…ありが、とう…。」




―そう伝えるのが精一杯だった私の、

次から次へと目から溢れ出す涙を、

そっとぬぐってくれた知念くんの手は、


とっても、

温かかった。







この想いを君に





(…あ、あともう1つ。)

(知念じゃなくて、名前で呼んで欲しいさー…。)





(…大好きだよ、寛くん)





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※でーじ→とても、いっぱい



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