いつわりびと◆空◆

□すれ違う恋愛一方通行
1ページ/3ページ

好きにならなければ…



何回想っただろう…




好きにならなければ…





――すれ違う恋愛一方通行――






夕日が差し込む教室で二人きりだった。
正確には、空が教室で寝ていた所に、閨が忘れ物を取りに戻ってきて今の状況に至っているワケだ。

すぅすぅと寝息を立てる空の顔を覗き見る。
整った顔、バンダナで上げられた銀色の髪、長い睫毛。
全て好きだと思った。

でも、空は…
空の一番はぽちだ、何においてもぽちが一番だ。

そんな事は閨も分かりきっていた。
何度も考え直した、何度も何度も…

本当は空なんて好きじゃない。

そう何度も自分に言い聞かせた。
それなのに、考え直す度に、言い聞かす度に、自分は空が本当に好きなんだと強く感じた。
だからこそ悲しい。


一度告白をした。

ちゃんと空を好きだと、そう言った。
だが、空は何も答えなかった。
正確にはええんちゃうの?と答えた。
だが、それは閨の求めていた答えではない。

イエスかノーか…
それすらもひらりと空は逃げ回った。



閨自身も告白した後も積極的に好意をぶつけた。
一回失敗したから何だ、空は駄目とも良いとも言わなかった。
それなら…


そう思い頑張ってきた。




でも、先が見えないと人は疲れてしまう。
実際閨も少し疲れていた。
どんなに尽くしても空は自分に振り向いてくれない。
そう、言われているようで…
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ