いつわりびと◆空◆
□お前は真っ直ぐ進んでけ
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「?!!!」
俺は慌てて周りを見渡した。
囲まれた?!逃げられねぇ・・・!!
焦る俺に対して空は落ち着いていた、随分余裕じゃねぇかこの野郎。
何て内心思いつつも、俺のせいで今この状況になっている事は紛れも無い事実だった。
「空、ワリィ。」
「何言っとるんや、ワシはヤボ用で来たって言ったやろ。別にお前の為なんかじゃないわ。」
「ね、お兄さん達まだ死にたくないでしょ?今ココで僕達の仲間になるって言うんだったら、殺さないであげる。
もちろん、お兄さん達は腕が立ちそうだから配分は多くしてあげるよ。」
どうかな?と子供はまだ俺らを勧誘し続ける。
俺は空を見た。
「空。」
「何や?お前まさか仲間になるなんて、言わんよな?。」
「あ、当たり前だろ!!」
「やってさ、ワシ等の答えは聞かんでも分かるやろ?どんな条件出されても入らんわ。」
それを聞くと子供が不機嫌そうな顔で言った。
「本当にそれで良いの?お兄さん達囲まれてるんだよ、逃げられないよ?本当に殺しちゃうよ?
今回が最後だからね、後からどんなに頼み込んでも仲間になんかしてあげないから。」
「勝手にせぇや、それに囲まれてるんやったら逃げ道を作ればええ話やろ?」
「へぇ、じゃあ逃げ道・・・作って見せてよ。お前達。」
子供の冷酷な声が洞窟に響いた。
「殺せ」
「うおおおおおおおっ!!!!」
男たちが手に武器を持ち俺達に向かってくる。
「おい、空?!お前どうする気なんだよ?!本当に逃げ道作れんのか?!」
「まったく、薬馬はウルサイわ。簡単やんけ、コレ使えばのぉ。」
空は懐から小さな筒を取り出し地面に投げ、ドンッという激しい爆発音がした。
「な、コイツ爆弾持ってやがるぞ!!」
「このクソガキが!!」
「なんやねん、人の事殺そうとしといて当たってもいない爆弾なんぞにビビりおって。
まぁ、次もそうは言ってられへんかもしれんがのぉ。」
そう言いながら、空はまた懐から小さな筒を取り出した。
空の行動に子供は不機嫌そうに聞く。
「どういう事?お兄さん。」
「コレも爆弾や、しかも威力はさっきの15倍。お前等動いたらコレ落とすで。
爆発したら・・・そやなぁ、この洞窟くらい潰れるんちゃう?」
「っ!!お前等!動くな!!」
偽り人達は怖気づいて動かなかった。
「なんて、嘘や。動かんでもお前等潰れるけどのぉ。
薬馬!走るで!!!」
「あ、あの野郎投げやがった!!!」
「て、テメェ!!!」
俺は空に手を引かれるまま走った。
チラリ、と後ろを見る。
いくら高く投げたところで、俺達が出口に辿り着くまでの時間は稼げない。
コツン
空の投げた筒が落ちる音がした。