その他

□さっさと起きろよ
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『・・・・・・眩しい・・・』


===さっさと起きろよ===



真昼に男は目を覚ました。
男が目を覚ました場所は、山に偶然出来た洞穴。
何故男がホテルなどに泊まらず、こんな所に居るのか。答えは二つ。
一つは、起きた男の連れがあまりにも目立ち過ぎる為だ。
紫の肌、赤い目・・・こんなのを人混みの前に放り出したら、途端に警察を呼ばれて面倒臭い事になるのは御免だった。
そしてもう一つは『修行』の為。
20代前半の男と紫色の肌の男がする『修行』って・・・と思った事だろう。正直管理人も思いました。貴女の感性は通常です、大丈夫です。

なにはともあれ、この男たちの異様さは尋常ではない。
それもそのはずだ。
この男たちはバンパニーズなのだから・・・


バンパニーズ。
700年前バンパイアと袂を別ち、人間の血を全て飲み干しその魂を己に取り込む事を、気高い行為とする夜の生き物。
独立した後にバンパニーズ大王と呼ばれる者が指揮を取るとされる。


そして、今眩しいと目を覚ました男。
この男こそがそのバンパニーズ大王こと、スティーブ・レパードである。



「ッチ、まだ昼じゃねえかよ。」


スティーブはそう言いながら目の前の男を見る。


ガネン・ハースト。
スティーブの師匠であり、血を注いだ本人。そして認めたくないがスティーブの恋
人だ。


スティーブは半バンパニーズなので日光なんて平気なのだが、対するガネンは完全なバンパニーズ・・・日光なんて体に毒。というか、長時間浴び続けると死に至る。
必然的に、ガネンは夜になるまで起きない。その間スティーブは暇と言う事になる。

起きてしまったのだから仕方ない。
これからまた寝れそうにも無いので、スティーブは軽く体を動かす事にした。


――2時間後――
「はぁ?まだ起きてねぇのかよ?」

軽く体を動かした割には、時間の掛かり方と汗の量が半端じゃないスティーブは、汗を拭うでもなく未だ眠り続けるガネンを見ていた。

「・・・・そういえば、眠り続ける姫は王子のキスで起きるんだよな・・・」

そう呟き意味深にガネンを見ているスティーブの口角が急に上がった。

そして
ほぼ全ての方のご想像通りにスティーブは、屈みこんでガネンに顔を近づけた。

5cm、3cmとガネンとの距離が近づく。

後1cm。


スティーブはピタリと止まった。徐々にガネンとの距離は離れていく。


「これじゃつまんねーな。」


立ち上がりガネンの頭を撫でる。


「さっさと起きねえと本当にキスすんぞ、おっさん。」


そう言い放ちスティーブは近くの川へ向かっていった。
洞穴に残されたは紫色の顔を紅く染める男が一人だった。
 
 
 
 
→アトガキ
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