小説

□約束
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九番隊の檜佐木修兵宛へ二番隊にあるマッサージ器を一度試してみないかと砕蜂からのお誘いの手紙が届く。
檜佐木はその手紙を拝見し、すぐに業務を終えて二番隊に向かった。

「待っていたぞ、檜佐木」
「あ、あの…マッサージ器って」
「こっちにある、付いてこい」

執務室の前で既に待ち構えていた砕蜂は仁王立ちをしてそこに立っていた。
檜佐木の到着を確認すると案内をするという風にさっさと廊下を歩き始める。そんな砕蜂に慌てて付いていく。

そして広い廊下を歩いていくと貴賓室と書かれた部屋の前まで来た。その戸を開ければ中に入れと促される。
普段貴賓室に入れるのは身分が高い貴族のみで檜佐木は特別にその部屋へと案内されたのだ。さすが貴族が使用する部屋でもあり、中は広くマッサージ器具やテレビ・ベッドなど普段手に入らない豪華で貴重な物がそこに揃えられていた。

「もたもたするな、早くここに座れ」

感動している檜佐木をマッサージチェアに座れと促す。
キョロキョロと周りを見回していたがその命令に慌ててマッサージチェアに座った。
座ったのを確認するとぽちりとスイッチを入れてマッサージ器を作動させる。
瀞霊廷通信の編集をしていただけあり、肩がものすごい凝っていた檜佐木は自動式マッサージチェアを初めて体感してその気持ち良さに目を瞑る。

「貴様にも試してもらおうと思ってな、気持ち良いか?」
「ええ、とっても気持ち良いっす!ありがとうございます砕蜂隊長…でも」
「?何だ」

気に入ってくれた事に満足する砕蜂は何やら不安要素がある檜佐木に耳を傾ける。

「貴賓室に俺みたいな貴族じゃない奴を入れて大丈夫なんですか?ましてやここって夜一さんが使っていた部屋なんじゃ…」

夜一、という名前にピクリと眉を動かす。
以前夜一がまだ上司でありこの二番隊に就いていた時は使っていた部屋である事には間違いなかったようだ。

「隊長…?」
「…今日だけだ」
「え?」
「心配するな、今日だけ特別に使わせてやると言っている」

逃亡前夜、夜一曰く
゙好きに使うといい、ここは砕蜂お主に受け渡す。好きな異性でも連れてくれば良い゙との伝えがあった。
その事を知らない檜佐木は何かを隠して黙っていると砕蜂の顔の表情を見て確信した。
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