組長の犬たち
□黒澤組の日常
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「組長、書類の確認をお願いします。」
「ん。終わったら見るからそこに置いとけ。」
誠也には目もくれず、書類に目を通しながら返事をする組長の黒澤聡
そんな聡に残念そうに肩を落とし、小さく返事をして書類を机の上に置く
他の組員には気付かれていないが、内心聡に構って欲しかった誠也は仕方なく席へと座る
そんな誠也の様子を書類を眺めながらちらりと視線だけ向ける
林檎や森、三春よりも難しく量のある書類を一番早くに仕上げる所は、さすが俺の右腕といったところだ
誠也や林檎、三春や森の熱い視線に気付きながらも、知らないふりをして誠也の書類を確認する
内容は、全くミスのない完璧なものだった。こういったことが面倒な自分としては、これだけ優秀な部下を持ち、大分楽をしている
…そういえば、林檎のミスの後始末も任せてたな
よし、せっかくだから今日はうんと甘やかしてやるか
眼鏡から覗く瞳はひどく冷たく、残忍な印象を与える。また、誠也の行動や口調が加わり、さらに冷たい印象を与えられ、周りからは敬遠されがちだ
だが、そんなアイツも一人な人間。好意を寄せてる奴の前じゃぁ、そりゃあ可愛いもんさ
まぁ、ここでのアイツの好きな奴は俺だがな