ギャグ

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「骸さん骸さん。」



「なんです?犬。」



「暇れす。」



「そうですか。」



「暇れす暇れす暇れす暇れすぅううう!!!」



「うるさいですねぇ、そんなに暇なら木登りして蝉でもとってなさい。」



「えぇ〜やれすよ暑ぃし。」



「文句があるなら黙って寝てなさい。」



「…は〜い。」






たしかに暇だ。
夏休みに入ってから毎日が暇で暇で堪らない。


羽を休めることができると喜んでいるのも最初の内だけで、後はただごろごろと過ごすだけだ。


夏休みの宿題?
そんなのもらったその日に全て終わりましたよクフフ。


僕を誰だと思ってるんです?
天下の六道骸ですy「骸様、そのモノローグうざいです。」



「あぁ千種居たんですか。」



「…いましたよ最初から。」



「なんですか、僕の台詞のどこがうざいんですかクプンクプン。」



「クプンクプンとか言ってる時点でうざいです普通プンプンだろ。」



「こっちの方が可愛いじゃないですか!」



「気持ち悪いですだれも骸様に可愛さを求めてはいません。」



「千種…あなたも言うようになりましたね…。」



「…骸様。」



「おや、どうかしましたかクローム。」



「…あ、あの…。」




クロームはおずおずと両手で何かを差し出した。


ふと視線をやるとそこには「国語問題集」という文字が




「…宿題、見てもらえませんか?」



「もちろんですよクローム。」



「あ"ー!!アホ女だけずりぃ!

骸様!俺も見てくらさい!!」



「…しょうがないですね。持って来なさい。」



「やったー!」



「千種はどうですか?」



「…めんどいけど、教えてもらいます。」



「めんどいけどとはなんですかめんどいけどとは。

まぁいいでしょう、みんなそれぞれ見てもらいたい問題集を持って来なさい。」



「「はい。」」 「へ〜い!」




「持って来ましたか?」



三人は各々見てもらいたい問題集を手に抱え持って来た。




「クロームは国語ですね。」



「はい。」



「どれ…。」




骸はパラパラと問題集のページをめくる。





「ふむ、だいたいは出来てますね。これで大丈夫だと思いますよ。」



「…良かった。」



「ただ、まだ少し主人公の思考が理解できてないようですね。
なぜこの人物がそのような行動をしたのか、心を読み、想いを掴むということは幻術を使う上でもとても重要となります。」



「…はい。」



「まぁ、他の問いには答えられてますし、ここは引っかけ問題なのでさして気にすることはないでしょう。よくできましたねクローム。」



「…ありがとうございます!」



「どういたしまして。ちなみに答えは2でなく3です。」



「…はい!」




クロームは問題集を受け取ると、いそいそと答えを書き直した。






「さぁ、次は千種ですね。

何を見ればいいんですか?」



「…これです。」



「ほぅ、数学ですか。千種は数学が得意だったような気がしたのですが…。」





骸は千種から受け取った問題集のページをパラパラとめくる。





「…千種、何故式まで書いて計算をしてないんですか?」



「計算…めんどい。」



「いやいやめんどいじゃないですよ!これじゃいつまでたっても答えが出ないじゃないですか。」



「…。」



「まったくあなたのめんどくさがりもここまでくると一種の病気ですね。

どれ…他は……………なんですかコレ。」



「どうかしましたか?」



「いやいやなんですかコレ、なんで文章問題一問も解いてないですか。」



「…めんど「めんどいのはお前だよいい加減ちゃんとしなさい!」…はい。」



「まったく、それになんですかコレ。なんで式も計算も何もしないのに25人なんて答え出てるんですか。」



「…勘。」



「勘で数学解けたら苦労しませんよ。ほらここは求める人数をx人として…あ。」



「?」



「…25人です。」



「…。」



「…なんですかそのちょっと勝ち誇ったような顔は。」



「…いえ、なんでも(笑)」



「おいコラなんだ(笑)って。もう知りません自分で解きなさい!」



「…はい(勝)」



「うっざ!!」



「まったく千種はなんであんなに厭味なんでしょうか…。

まぁいい、次は犬ですね。」



「はい!」



犬は笑顔で問題集を骸に渡す





「…はい?」



「どうかしたんれすか?」



「…【小学生漢字ドリル】って書いてあるんですが。」



「あぁ、教師のヤローが俺は特別らってこれくれたんれす!スゴイれしょ!」



「…。」




哀れですね犬。
小学生レベルって…




「ま、まぁ見てみましょうか。」



「はい!」




何も気にしないと心に決め、僕はページをめくった。




「…犬。」



「はい?」



「君…今まで何を勉強してきたんですか?」



「??」




犬はきょとんとした瞳で首をかしげる




「まず問2。これは【メガネ】と書くんですよね?」



「はい。」



「なんですかこれ、【目境(めさかい)】って。どこですか目の境って。」



「へ?違うんれすか?」



「いや違いますよ一字も合ってませんよ【眼鏡】でしょうが!!」



「ぬぁ〜惜しかったれs「惜しくありません。」」




「問3なんてなんですかこれ。」



「しょう・ちく・ばいを書けって書いたんで書きました。」



「ショウ・チク・バイは松・竹・梅でしょう。
なんですか荘・築・売って。別荘建築して売るんですか大工気取りですか。」



「むぅ〜難しいれす。」



「いやどんな馬鹿でもこんな間違いしませんよ。

漢字辞典見てちゃんと覚えてきなさい!」



「…はぁ〜い。」




犬はとぼとぼと自分の部屋に戻っていった。






「まったく、犬は本当にダメダメですね…。まぁ、勉強ができる彼というのも些かおかしいですがね、クフフ…。」







骸は悲しそうに事典を探しにいく犬、隣で黙々と勉強をしているクロームと千種を見て、微笑んだ。



自分を頼ってくれることが、少しだけ、ほんの少しだけ嬉しい。








「…こんな夏休みも、いいものですね…。」















 ある夏休みの一日






 (「骸さぁーん!」)

 (「あぁ、持って来ましたか。」)

 (「かんじじてんってなんれすか?」)

 (「…帰れ。」)


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