ギャグ
□05
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何やらひっそりと静まり返った部屋。
そこには二人の男がいた。
どちらも20代半ば程だろうか。
一人は自身をも隠す程の書類が乗っているデスクに向かい、黙々と目を通していた。
「ねぇ…骸。」
骸と呼ばれた、独特の頭をした長髪の男はソファで読書をしていたが、名前を呼ばれて視線だけをデスクに向けた。
「なんですかボンゴレ。」
「…いい加減そう呼ぶの、止めろよな。」
デスクに座っていた男は、フッと軽く笑いながらゆっくりと立ち上がり、骸の向かい側にあるソファに腰かけた。
「よっ…と」
「まったく、まだ25だと言うのに初老みたいですね。」
「仕事が忙しくて疲れてるんだよ。」
暇なら手伝ってよ。と呟きながら、テーブルに置かれていた紅茶に口を付けた。
「嫌ですよ。僕もやっと黒曜から帰ってきたばかりなんですから。
というかそれさっき僕がメイドに持ってこさせた紅茶なんですけど。何我が物顔で飲んでるんですか」
「読書ばかりして一口も飲んでないじゃん。
せっかくいれてもらった紅茶が冷めるよ。」
「あと一ページ読んだら飲もうと思ってたんです。」
「じゃああとで隼人に持ってこさせるよ。」
ハァと深いため息をついてまた紅茶に口をつけた。
「そういえば、わざわざイタリアから黒曜に行くなんて、どうしたの?」
「あぁ…。ちょっと忘れ物を思い出しましてね。」
「忘れ物…?」
「これですよ…。」
そう言って上着の内ポケットから取り出した者は、群青色のピアスだった。
「あぁ、それか!
懐かしいね…。」
「もう8年前のことですからね。」
「その時俺達は確か、高校生だったっけ…」
ボンゴレはゆっくりと目を閉じて、昔のことを思い出していた。
「お前が帰ってくるからって、みんなでパーティーやったね。」
「結構楽しかったですね。」
「うん…。
みんなで出し合って買ったピアスなのに、なんで黒曜に忘れちゃうのさ!」
「忘れたのはピアスじゃなくてこっちです。」
「…?色紙?」
それは何の変哲もない色紙だった。
少し色褪せた感じがいかにも昔のものだということを物語っていた。
「みんなが僕に書いてくれた色紙です。
無くしてしまったと思って諦めていたのですが、やっとどこに置いてあったか思い出しましてね。」
「なんだ、骸も人の事言えないじゃん。」
「何がですか?」
「初老だってことだよ。」
「…なんとでも言いなさい。」
少し眉をしかめた骸だったが、小さくフっと笑った。
「そういえばあの時隼人がずっこけて大変なことになったよね!」
「全く今も昔もしょうがない男ですねあの男は…クフフ。」
「だね!!アハハ…!」
あの日、あの瞬間。
確かに僕はみんなの中心にいて
みんなの仲間なんだと思えた
大切な居場所ができたと思えた
その時どんなに嬉しかったか
どんなに心が満たされたか
それはまた、別の機会にお話ししましょうか…。
ではまた、アリベデルチ…。
新たな居場所
ガチャ…
「十代目、紅茶お持ちしました!!」
「あ、隼人…ブフッ!!」
「これはどうも…クハッ!!」
「アハハハハ!!」
「クハハハハ!!」
「な、なんですか二人して!!」