ギャグ

□08
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ここはイタリアのボンゴレ本部。


見た目はマフィアのアジトというより、金持ちの豪邸だ。




今日もいつも変わらない日々が待ち受けているだろうと、…思っていた。















「…はぁ、キッツ。」







今やこのボンゴレのボスとなったツナは、今日も黙々と書類に目を通す。



まだボスに就任して半年しか経っていないにも関わらず、彼の力は絶大だ。





ツナは高校を卒業してしばらく経つと、すぐイタリアに発った。


九代目の死期が近付いてきているかもしれないと、年長の者が騒ぎ立てだしたからだ。




実際はただのギックリ腰で寝込んでいただけだったが。



もう結構な歳であるにも関わらず、ボンゴレ式ゴルフ大会でハッスルし過ぎた結果である。



けれどそんな恥ずかしい事が言えるわけも無く、『体調が優れない。』とごまかして寝込んでいた。


それが騒動の火種であった。




『ガンだ!』『不治の病にかかってしまわれたのだ!!』とボンゴレ内部は大騒ぎ。




急いでイタリアに連れていかれたツナと守護者達は、バタバタと就任式を終えてあっという間にボスとなった。





就任式を終えたツナと守護者達は、急いで九代目の元に向かった。



九代目の死期が近いとすっかり信じ込んでいたツナの目には、いっぱいの涙が溜められていた。



しかし九代目の部屋に付くと、見えたのは病と戦い寝込んでいる九代目…




ではなく、






腰に湿布を貼ってうんうんと苦しんでいる、ベットで俯せになっている九代目の姿だった。





その時の彼らの間の抜けた顔ときたら。











そんなトラブルの中でボスとなったツナだったが、やはりまだまだ子供のままだった。

そんなツナを狙っている者がいた。







「クフフ…、なんと無防備なんでしょう綱吉君。」







六道骸だ。




彼は今でも、ツナを乗っ取ることを諦めてはいなかった。




骸、そして彼の部下であるクロームは扉の向こうで、チャンスを伺っていた。








「今奇襲をかければ、きっと上手くいく。

行きますよクローム。」




「…。」





「…どうしたんですか?」




「骸様…。私、嫌です。」




「…怖じけづきましたかクローム。」




「…違います。」




「ではなんだと言うんです?」




「…服。」




「…服?」







クロームは、まるで何かの美少女系の漫画のようなフリフリメイド服を着ていた。


ちなみに骸はタキシードだ。






「…なんでこんな格好なんですか。」




「変装に決まってるじゃないですか。」




「…骸様、この頭では変装しても無意味だと思います。」




「クフフ…、変装の為だけではありませんよ。」




「…!」




(…さすが骸様、何か策があったのね。)










「それは…


僕の趣味です。」





「…。」




「…クフフ、似合っていますよ僕の可愛いクローム。」




「…骸様。」




「何ですか?」




「…死んで下さい。」








ボコッ!!!








「グハッ!!!」







クロームの華麗な回し蹴りが、綺麗に骸の顔面にヒットした。(チーン)








骸とクロームのやり取りは、ツナに筒抜けだった。




「(…何やってるんだろうアイツら;)」












「痛いですね、僕の美しい顔に傷がついたらどうするんですか!!

…アレ、クローム?」







振り返ると、そこには何もない広い廊下と赤絨毯しかなかった。











「…グスッ。」





「(Σ…泣いてるぅ?!)」






「…こうなったら僕一人で彼と闘います。」












骸はどこからか三つ又の槍を取り出し、構える。










「沢田綱吉…覚悟!!!」








バンッ!!!












「…やぁ骸。(ニッコリ」





「…やぁ綱吉君☆」












勢いよく扉を開け放つと、その向こうにはニッコリと笑っているツナがいた。




ちなみに骸の鼻先には、銃(トカレフ)が近付けられていた。




その距離約0.2p。








「どうしたのそんなに急いで。(ニコニコ」




「ト…トイレを貸して頂こうかと思いまして☆」



「へぇ〜…『かく』ナントカって聞こえたんだけど。」




「か、かく…


角刈りってカッコイイですねと言おうと思いまして☆」




「じゃあする?」




「…滅相もございません☆」




「その☆ウザイんだけど。」





ゴリッ





「すすすすすすみません。」






鼻に銃を押し付けられた骸は滝のような汗をダラダラと流している。






「鼻の穴一つにしてあげようか?(ニコニコ」




「遠慮します。というかいたたたた痛いです鼻の穴に銃口を突っ込まないで下さいよなんて屈辱的!!」




「このトカレフさぁ…結構レアなロシア製のなんだよね。今は中国製ばっかりなんだけど。」






「と、言・う・こ・と・は…。」






「そう。

ストッパー(安全装置)ついてないから☆」





「いやぁあああ!!!やめて下さい綱吉君本当にすみませんでした!!!」





「…わかればいいんだよ。」










ツナはそう言うと銃から玉を取り出し、銃自体はゴミ箱に投げ捨てた。




骸の鼻の穴に突っ込まれた銃など誰も使いたがらない。


「それにしても、これで5469回目なんだけど。」




「何がですか?僕の鼻の穴に銃を突っ込んだ回数ですか?」




「そんなにあったら銃がいくつあっても足んねぇよ。

お前が俺に奇襲をかけた数だよ。鼻の穴に突っ込んだのは547回目。」




「10分の1の確率で突っ込んでるじゃないですか!!」




「いつもは安物なんだけど、今日は咄嗟に近くにあるのを取っちゃったよ失敗した。

コレ結構高いのに…もったいない。」




「シカトですか。いつか僕の鼻の穴めちゃくちゃ広がるんじゃないですか?」




「あぁそうしたらもうブカブカになって入らなくなるね。

次はバズーカにしようかな。」




「んな物入るか。」












「なぁ骸。」




「なんですか?」




「お前はそんなに俺を殺したいの?」




「…いいえ。

僕はただ、この世のマフィアというマフィアを全て、殲滅したいだけだ。」




「…そっか。」







外をふと見る。



庭に、たくさんの色とりどりの小鳥がいる。







「まだ、憎いの?

お前を変えたアイツ達が。」








骸は、ゆっくりと窓辺に近付き彼もまた外の小鳥を見る。







「彼らの手によって、たくさんの命が失われていきました。

そして…」






庭の小鳥が次々と飛び立っていく。







「僕を…。

僕から人の感情を奪っていきました。」






残ったのは、一羽の小鳥。


羽は薄汚れ、赤い目をしている。







「そうするとただただ、全てが憎くなった。
そして全てが愚かなものに見えてきた。」




「…。」




「でもそれはもう過去の話です。彼らの事など毛頭ほども気にしてなどいません。

…ただ、コレは僕の野望です。今更変える気などない。」




「…そっか。」




「でも少し…本当に少しですが、彼らに感謝しています。」




「…ぇ?」




「彼らのせいでたくさんのものを奪われましたが…君達にも会えたことですし。」








赤い目をした小鳥のもとに、また何羽かやってきた。



赤い目の小鳥はその小鳥達とともに、どこか遠くへ飛んで行く。



それを見て骸は、「あぁ彼にも仲間ができたのですね。」と目を細めて笑った。











「なぁ骸。」




「なんですか。」




「俺、このゲーム負けないから。」




「…ゲーム?」




「お前が俺を乗っ取って世界大戦を起こすか、」




「それとも君がボンゴレボスとして生き続けるか、ですか。」




「いいや。」




「!」




「俺が先にボンゴレの掟をぶっ壊してマフィア界を変えるか、だ。」








ツナは骸を横目で見て、不敵に笑った。






「マフィア界を変える、ですか。

そんなこと貴方にできるんですか?」




「俺はボンゴレボスだからな。変えてみせるさ。

こんな世の中間違ってる。」




「その点では、僕等は似た者同士かもしれませんね。」




「そうかもね。」









バンッ!




「じゅ、十代目!!」




「どうしたの隼人。」







しばしの沈黙を破るように、獄寺が慌ててやってきた。






「敵襲です!!

敵はフィリッツェファミリー、すごい数です!」




「フィリッツェファミリーか、戦闘レベル下の下ランクファミリーじゃん。」





「そんな者達が天下のボンゴレに手を出すなど、命知らずにもほどがありますね。」




「久しぶりに暴れようかな。」







ツナは首と手をコキッと鳴らすと、グローブを手にする。






「僕も行きましょう。
綱吉君、勝負です。」




「望むところ。」





僕が世界を終わらせるか



俺が世界を変えるか





このゲーム






絶対俺が 絶対僕が






勝ってみせる!!





 Lets party!!



(あ、隼人コレあげる。)
(コレは…ロシア製のトカレフじゃないですか!!
ありがとうございます!)

(…哀れ隼人君。)



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