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10/22(Mon) 22:29
妄想文:旧貴族の苦悩
しょう

こんばんは、しょうです。

前の「潜伏生活中の一コマ」でライの女性関係の話になったのでこれも投稿させていただくことにしました。

これが私のライ君がカレン以外の女性に対してどう思っているかを端的に表している話になります。
これを読めば一発で解る!

ちなみにオリキャラが出ますが、この文のためだけの完全オリジナルです。

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10/22(Mon) 22:31
しょう

時流にうまく乗ったものは興隆し、乗れなければ没落する。それが世の真理であることは、今も昔も変わりない。
しかし、その流れが大きく変わろうとしている時に、その先まで見通して進むべき道を選択できる人間が少ないのも、また歴史が証明している。

「困った…」
この屋敷の主、クラレンス・シェフィールドは、もう何度目かもわからない言葉を口にした。
屋敷は広大で、シェフィールド家が資産家というのは一目で理解できるだろう。だが神聖ブリタニア帝国伯爵という肩書を先に聞いておけば、逆の感想を持ったかもしれない。
伯爵家にしては、質素だな、と。

シェフィールド家現当主クラレンスは、温厚篤実な君子人と評されている。領地に重税を課して浪費に走るなどということとも無縁なので、領民の支持も厚い。
これまでの世であれば、ブリタニアの名家の一つとして声望を集め、領地では善政を讃えられる、よき貴族として名を遺したであろう。
しかしそれも、予期せぬ皇帝の代替わりによって崩れ去った夢になってしまった。

神聖ブリタニア帝国第99代皇帝・ライゼル・エス・ブリタニア。伝説の『王』が復活したという超常の事態を飲み下すのは、彼でなくても難しかっただろう。
血縁についてはまあ納得できなくもない。何しろ、伝説となった『王』なのだ。
『王』がいなければブリタニアなどとっくの昔に滅亡している、という歴史家の評も、内心では認めているブリタニア人は多い。
それゆえ、『王』の治世が数十年の長きに続いていれば、ブリタニアの正統は『王』の血筋になっていてもおかしくなかった、とも言われていた。
クラレンスも、その一人である。もちろん、表立って言うほど正直ではなかったが。

とはいっても、貴族制度の廃止、財閥の解体、ナンバーズの解放、減刑などこれまでのブリタニアでは考えられないことを次々と、しかも強硬に推し進められては、これまでの貴族としてはたまったものではない。
事実、反乱を起こす貴族が続発している。もちろんシェフィールド家も誘われたことがある。
当然ながら断った。『王』相手に勝てるなど到底思えなかったし、あの即位の際の一件の衝撃はやはり大きかった。
ナイトオブフォーが敗死した時などは、心底から逆らわずに良かったと思ったものだ。
しかし、このままではシェフィールド家がどうなるか。それがクラレンスの悩みの種である。

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10/22(Mon) 22:33
しょう

「困った…」
再びつぶやく。
クラレンスは、地方長官として赴任してほしいと打診されている。貴族としてこれまで得てきた特権は失うが、従えば路頭に迷うことにはならずに済む。
だが怖いのは皇帝の考えが読めないことである。行政は自信があるが、どんな難癖をつけられて家を取り潰しにされるかわかったものではない。
その様子に、先ほどからじっと父親を見つめていた娘が意を決したように告げた。
「お父様…、私を陛下に差し出す、というのはどうでしょうか」
「な、何を言うんだ、シェリー!お前にはちゃんと良縁を…」
娘の爆弾発言に、父親がどもりながら叱りつける。しかし娘は動じない。

シェフィールドのご令嬢、と言えばブリタニアの貴族界で注目の的だった。何しろ美人だ。ブリタニアでも一、二を争うと言われ、皇室に嫁入りしてもおかしくないと言われていた。
歳は、今年で16歳。少々早めだが、婚約相手を決めてもおかしくない年齢だった。
「ルルーシュ殿下がご存命ならば、お似合いでしたのに…」
そう嘆く貴族もいたし、当然ながら縁談は数えきれないほどあった。その中でクラレンスは悩みに悩んで、ついにある家との婚約を決めようとしたところだった。
それを破談にして、公式発表はしてないがあのクィーンオブワルキューレと結婚式を挙げたという陛下に差し出せとは、暴論もいいところだった。

「ですが、ここは好機でもあります。それに陛下は、私たちが思っていたような冷酷非道なお方ではありません。そこまで酷いことはされないでしょう」
新帝に対する国内の評判は賛否両論というところだが、概して平民階級や下級貴族に支持するものが多く、上級貴族の支持はない。シェフィールドが従うとなれば、政治的な意味合いは大きい。
しかしその恩も仇で返されては元も子もないのだが、娘の観測によればそうはならないという。
妻の実家であるシュタットフェルト家を取り潰したと言っても、これはあくまでも反乱を企てたことによる裁きであり、それは当然のことだった。
同様に、これまでライが取り潰した貴族は、反乱を企てるか領地で悪政を行っていたかである。
それ以外の、例えばオデュッセウスやギネヴィアといった皇族たちは、事実上軟禁とはいえ衣食住に困らないよう配慮されていた。
そしてクラレンスのように有能ならば、官僚や地方行政官として取り立てる。

「ふむ…」
確かにクラレンスも、迷っているところがあった。やり方が強硬とはいえ、理由なくライが殺したのはあの時の兵士一人だけである。
『狂王』の名からすれば、臣下は奴隷のごとく、領民は家畜のごとく、女子は性欲に任せて…、という暴君をイメージしていたが、どうも違うということは感じていた。

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10/22(Mon) 22:34
しょう

「しかし、お前を犠牲にしてまで…」
クラレンスとて、新帝に賭けるのなら繋がりを持ちたくないわけではない。
絶対君主制である以上、皇帝の意向が何よりも優先される。逆に言えば皇帝の機嫌を取っておけば安泰ということでもある。
そして皇帝とて一人の男だ。男が美女に弱いというのは人類発祥から終焉まで決して変わらぬ真理であろう。
その上皇子誕生ともなれば、外戚として尊崇を集めることは言うまでもない。独裁を行う皇帝を掣肘できるかもしれないし、これまでなら影の皇帝となるのも不可能ではなかった。
良識家と言われていたクラレンスであったが、貴族である以上この位の打算は働かせる。問題は犠牲が愛娘ということで、それが彼の決断をためらわせていた。
「かまいません。私一人でシェフィールドの家が守られるのでしたら、喜んでこの身を差し出します」
わが身を犠牲にしても家のために、と言う娘の悲壮な決意に涙してしまった父親は気付かなかった。

いや、彼女の言ったことは嘘ではない。一面の真実ではある。だがそれが全部ではなかったのだ。
(陛下…)
このシェリー・シェフィールド伯爵令嬢、一言でいえば『惚れていた』。


シェリーとライは、直接出会ったことはない。実はシェリーは108人いた皇帝シャルルの妃の一人のお気に入りで、年頃になっても後宮勤めを続けていたのだ。
当然、ライの即位によって108人の妃たちは後宮から出されることになった。だが108人の女性とその取り巻きをただ放り出すわけにもいかなかったので、順次引き取り先を探していったのである。
その引き取り先が決まるまでは後宮に住むことも許されていた。その中で、シェリーは見てしまった。

皇帝の声がして、思わず身を隠したシェリーが見たのは、ライとカレンが一緒に歩いている姿だった。
それだけならなんとも思わなかっただろう。だがその時の二人は冷酷非情の王とその情婦などとは程遠い、お互いに思いあった恋人としか見えなかったのだ。
そして、あの笑顔を自分に向けてほしいと、わけもなく思ってしまったのである。

その時から、シェリーは思い悩むようになった。
(どうしたら、本当の陛下に会えるだろう…)
親が決めた縁談の相手などどうでもよくなってしまっていた。酷い女だと言われるかもしれないが、その非難もどうでもよかったのである。
彼女にとっての問題は、どうして素顔を見せないのかわからないが、『狂王』の仮面の下にある素顔を自分にも向けてほしいということ。
しかし彼女の思いはかなわず、ライの素顔を再び見る機会はなかった。仕えていた妃の引き取り先が決まり、彼女も実家に戻ることになった。
そして軍部から漏れ聞いたことで、ライとカレンの結婚のことも知った。

そしてシェリーは決断した。
最初は、2番手でもいい、と。

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10/22(Mon) 22:36
しょう

「ご下命、ありがたくお受けさせていただきます」
会見の席で、クラレンスが答える。あの赴任の話を受けることにしたのだ。
「期待している」
ライの返事は事務的以上のものではない。だが内心では、きっと喜んでいるはずだとシェリーは思った。
室内には、皇帝であるライと当事者のクラレンス、常にライの傍らから離れないと言われているカレン、そしてシェリーの4人だけだった。

「つきましては陛下、わが娘をお傍に置いていただけますでしょうか?」
ついに来た、とシェリーは思った。
ブリタニアでは『愛人を持つ』ことは夫婦喧嘩の種にはなっても、非難されるようなことではない。皇帝なら複数の妃を持つのは当然のことだった。
例えば、先帝シャルルが108人も妃を持っていたのは先の通りだが、これは歴代と比較しても異常な数字ではない。

一つには、キリスト教国ではなかったので『結婚=神に誓った神聖な絆』という意識がなかったこともある。これだと、敬虔な信徒なら浮気も離婚もできない。妻と同時に神に対する裏切りになってしまうからだ。
逆に、キリスト教を国教化する前のローマ帝国では、支配階級である元老院議員にもなれば政略結婚と離婚は当たり前のことで、愛人がいたとしても公式な場で非難されることはなかった。
ユリウス・カエサルなどプレイボーイとして有名で、当時600人いた元老院議員の3分の1がカエサルに『寝取られた』という伝説がある。
さすがに伝説だろうが、多くの愛人がいたのは事実である。そして、『女たらし』と言われたことはあっても、致命的なスキャンダルとして扱われたことはなかった。
ブリタニアも、この流れを汲んでいる。ローマから早くに独立したため、逆に各所でローマ的な『古代』が残ったのがブリタニアという国だった。

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