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05/30(Sun) 17:18
妄想文いきます
冷斗

遅くなって申し訳ありません……時間かかってるわりにボリュームが少ないです。
もしライカレが双子だったら、というパラレルです。
幼少から始まって、ナオトと母は捏造です。途中、小説ネタあります。

PC
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05/30(Sun) 17:19
血を分けた紅と蒼
冷斗

 まだ、この地が日本の名で呼ばれていた頃。
 伊豆と呼ばれる港町に建てられた小さな小学校から、元気の良い子供達の声が聞こえてくる。
「きりーつ! 気を付けー! 礼っ!」
『さようなら!』
 号令が終わると同時に、ランドセルを背負った子供が一斉に教室から飛び出した。その中でも真っ先に学校を出たのは、2人の少年と少女だった。
 1人はくせが強いのか、跳ねた赤い髪を持つはつらつとした少女で、赤のランドセルを背負っている。
 もう1人は、柔らかそうな銀髪が揺れる、優しい面影が覗える少年だ。こちらはわりと珍しい色の青いランドセルだ。
「カレン! 早く帰って、お母さん達に僕達のテスト見せてあげよう!」
「うん! ねえ、どっちが早く帰れるか、競走しない?」
「いいよ。絶対に負けないからね」
「私だって!」
 まだ10歳になったばかりぐらいだろう2人は目配せをして、同時に全速力で走り出した。その年齢にそぐわず、かなり速い。並の大人でも追いつけないくらいだろう。
 少年の名はライ、少女はカレンという。
 それぞれ、ブリタニア人の父と日本人の母との間に生まれた双子である。
 現在は父と離れ、ここ日本で各地を転々としながら、母と兄のナオトと共に暮らしていた。
「はあ、はあっ……」
「つ、疲れたぁ……」
 でこぼこ道を駆け、心臓破りとも言える坂を上りきり、同年代ではまさにハイレベルな『競走』は、2人の同時ゴールによってケリがついた。
 いかに並外れた運動能力の持ち主であるこの双子達でも、さすがに息が切れて膝に手を付けたり、しゃがみこんでしまったりしていた。
「あの坂は本当にキツイな……走るところじゃないよ」
「だったら、あそこだけは歩いてかない?」
「でも、君にいきなり走り出されて1回でも抜かされたら、もう追いつけなくなっちゃうよ」
「それはお互い様じゃない。ライだって速すぎよ」
「そんなことないって」
 ようやく息が整ったところで、ライはカレンの手を引いて立たせてやった。そのまま手を繋いだまま、2人は自宅の扉を開け放った。1番最初に出迎えたのは、美しい細面の女性―――ライとカレンの母親だった。
「ただいま、お母さん!」
「ライ、カレン、お帰りなさい。どうだった、今日の学校は?」
「今日もすごく楽しかったよ。……カレン」
 ライが呼ぶと、カレンは頷いて、一緒に自分のランドセルの中身をまさぐった。そして2人で「せーの」と呼吸を合わせて、母親に2枚の紙切れを勢いよく広げる。
 途端に、母の顔がぱっと輝いた。
「まあ、2人とも100点だなんて! よく頑張ったわね」
 2枚のテスト用紙を交互に見比べて、母は自慢げにそれを掲げている双子の頭を同時に撫でた。
「えへへ……でも、お母さん。私よりライの方が頭良いのよ。クラスで1番早く解いちゃったから」
「えー、僕は計算だったら得意だけど、国語だったらカレンの方が上だよ」
 口々に互いを褒め称える我が子に、思わず顔がほころんだ母の後ろで、
「おっ、カレンにライ。帰ってたのか?」
 長男のナオトが、何故かドーナツをくわえながら出てきた。大好きな兄を見つけて、ライとカレンは例のテスト用紙を持って共に駆け寄った。
「ただいま、お兄ちゃん! ほら、見て見て。私達、一緒に100点とったんだよ!」
 ちなみに、ライは双子の中でカレンの兄にあたるのだが、いつでもどこでも一緒にいて、互いに名前で呼び合うことに慣れたせいか、カレンが「お兄ちゃん」と呼ぶのはナオトだけだ。
「へえ、すごいじゃないか。お前達、賢いんだなあ」
「だって僕達、すっごく頭が良いナオト兄さんの弟と妹だもん!」
「いや、その内、お前達に抜かされそうだよ。俺達もうかうかしてられないな、要?」
 ナオトが振り向くと、ナオトの友人である扇要が覗き込んできた。
「はは、そうだな。さすがはお前の弟と妹だよ。本当に凄いな、2人とも」
「ほんとに? 扇さん」
「じゃあ、次のテストでも100点とれるように頑張ろうよ!」
「うん! また、お母さんとお兄ちゃんにいっぱい褒めてもらおうね、ライ!」
 双子が顔を合わせて笑うと、母は目を細めて微笑んだ。
「ふふ、それじゃあ2人とも。お勉強を頑張ったから、今日の夕食はハンバーグにしましょうね」
「やったあっ! ねえお母さん、目玉焼きも付けてくれる?」
「お母さん、僕はチーズがいいな!」
「はいはい。もちろん、どちらも付けてあげるわ」
「わーい!」
 両手をぱちんと鳴らして、無邪気に喜ぶ弟達を、ナオトは兄として優しい目で眺めながらも、どこか複雑な心情を抱えていたのだった。

PC
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05/30(Sun) 17:21
血を分けた紅と蒼
冷斗

 扇が帰ってから、紅月家の夕食時となった。茶碗に盛られたほかほかと炊き上がったご飯、色とりどりの野菜で彩られたサラダ、そしてメインであるハンバーグ。カレンのものには目玉焼きが乗っていて、黒いソースがたっぷりと添えられている。隣にいるライのものは、とろとろに溶けたチーズにケチャップがかけられたチーズハンバーグだ。
「うわあ、美味しそうだな! いただきまーす!」
「やっぱり、お母さんのハンバーグは美味しい! ライ、私のちょっと分けてあげる」
「ありがとう、カレン」
 卵の黄身がかかったハンバーグを一口大に切ったカレンは、そのままライに食べさせた。ゆっくりと噛んで味わったライはにっこりする。
「うん、カレンのも美味しいな。僕のハンバーグもあげる。はい」
「ん、ありがと。……ぱくっ」
 お返しに、今度はライがチーズハンバーグをカレンに食べさせる。当然ながら、こちらも満面の笑みを浮かべた。
「チーズとケチャップもすっごく美味しい!」
「目玉焼きとソースも合ってると思うよ。僕も好きになっちゃった」
「……お前達、兄妹というより、恋人みたいだなあ」
 感慨深げに、半分呆れたような口ぶりでナオトが言うと、2人はきょとんとして兄を見返した。
「兄さん、こいびとって大好きな人のことだよね? 僕、カレンのこと大好きだよ。大人になったら、お嫁さんにしたいな!」
「え、ええ!? ちょっとライ! 私がお、お嫁さんって……」
 双子の兄から突然プロポーズされ、あたふたしたカレンは箸を落としてしまい、明るかったライの顔が急に暗くなる。
「……カレンは僕とじゃ嫌、かな……?」
「そそ、そんなことない! 私もライがその……好き、だから」
 たちまち、ライの表情がぱっと輝いた。
「やった! ねえお母さん、兄さん。僕、将来はカレンと結婚するんだ!」
「あ、ああ……まあ、いいんじゃないか」
「本当にライとカレンは仲が良いわね」
 ライに抱きつかれて、落とした箸を拾うことを忘れるくらいにカレンは赤くなる。それをにこにこして見守る母を横目に、ナオトはつくづく思った。
 ―――こいつらが双子の兄妹として生まれなかったら、まさにバカップルだったんだろうなあ。まあ、今でも似たようなものだけど……
 これ以上、直視していると胸焼けしそうなので、ナオトはなるべく気にしないように箸を進めるのだった。

PC
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05/30(Sun) 17:21
血を分けた紅と蒼
冷斗

 まだ子供で成長期の真っ最中であるライとカレンは、いつも9時きっかりに就寝するのが習慣だ。
 夕食後、ナオトに勉強を教わり(それは学校で習う勉学だけに留まらず、用兵学などの戦いに関するものも含まれている)、寝巻きに着替え、自分達で布団を敷いて眠りにつこうとしていた。
「今日のところ、全然わかんなかった……ライはわかった?」
「うーん、ちょっとだけ」
「やっぱり? お兄ちゃんはこういうこと、たくさん知ってるもんね。私達よりよっぽど頭良いわよ」
「そうでもないさ。むしろ、お前達くらいの年でちょっとでも理解できるだけ大したもんだ。特にライは人を従える才能がある。しっかり勉強すれば、すごい指揮官になれるかもしれないよ」
「そうかなあ……」
 あまり実感が湧かないらしいライは可愛らしく首を捻った。ナオトはそんな弟の銀髪を撫でてやる。
「そうだよ。カレンはどちらかというと、1人で力を発揮するタイプかな。絶対的なエースって感じだ」
「私がエース? じゃあ私、ライやお兄ちゃんより強くなれるかな?」
「……何かやだな、それ」
「ははは、俺も同感」
「な、なんでよ!」
 2人の兄に向かって不満そうにカレンが言うと、ライとナオトは同時にくすくすと笑った。
 双子の部屋に辿り着くと、ライとカレンは大きなベッドへ一緒に飛び込んだ。
「僕、1番のり!」
「私が先よ!」
「こらこら、ベッドが壊れるぞ。明日は俺と体術の稽古だからな。ゆっくり休めよ」
 ナオトが布団を持ち上げて、ベッドで横になった弟と妹に掛けてやった。
 眠くなったのか、カレンが小さく欠伸をする。
「ふわあ……うん。おやすみ、お兄ちゃん」
「兄さん、おやすみ」
「ああ。おやすみ、ライ、カレン……」
 向かい合って目を閉じた双子を見届け、ナオトは静かに部屋を去る。
 その瞳は、先程の優しげなものから険しいものへと変わっていた。
「……このままだと、ブリタニアは間違いなく日本に侵攻する。多分、日本は負けるだろうな。俺達、日本人がイレヴンなんて呼ばれるのも時間の問題……母さんだって、今まで以上に苦労するだろう。このまま黙ってみているわけにはいかない。俺がブリタニアと戦っている間は、あいつらに……母さんを守ってほしい」
 ちらりと、さっき出て行った部屋を振り返る。
「……まだ幼い弟と妹に、銃やナイフを持たせようとしている……本当に、最低な兄貴だな、俺は」
 幸か不幸か、ライとカレンには並外れた才能がある。
 もし、俺の身に何かあったら、あいつらは俺の跡を継いで戦ってくれるだろうか。
 自分達に流れる2つの血の内、日本を取って、もう半分のブリタニアと戦うのだろうか。
 最終的には、その逆を選んだとしても。
「お前達の思う通りに生きるといい。どちらにしても、これからの時代は辛いことばかりだろうから」
 誰に言うともなく、ナオトは踵を返して自室へ向かう。強力な国家ブリタニアに一矢報いるために。

 ナオトの予想通り、その後ブリタニアは日本へ宣戦布告。わずか一ヶ月足らずで占領、日本は植民地エリア11として支配されることとなる。
 戦後、ブリタニアの貴族であるライとカレンの父親が、本人の意思に関係なく2人を強引に引き取ることになった。
 無論、2人は猛然と抵抗した。
「絶対、嫌よ! あんな家に行くなんて!」
「どうして、僕達だけブリタニア人にならなければいけないんだ!」
 ここまで拒否するとは思わなかったナオトは少し困ったように微笑んだ。
「お前達に戦いは似合わない。銃も、ナイフも」
「そんなことない! 私達だって戦える!」
「それに、僕達に戦い方を教えてくれたのは兄さんじゃないか!」
 くしゃ、と髪を撫でられる。
 ずっと昔から変わらない、兄の仕種。
 母は褒めてくれるときにするけど、兄は―――双子を慰めるとき。
「そうだね。だから、お前達の力で母さんを守ってほしいんだ。俺の代わりに、母さんを」
 そんな―――
 双子は泣いた。歯を食いしばって、声もなく泣き続けた。
 そんな弟と妹を、兄はしゃがみ込んで同時に抱きしめてやる。
「頼む。ライ、カレン。母さんを頼む……!」
 いつしかナオトも涙を零していた。
 子のために我が身を犠牲にしようとしている母を、これから苦しい人生を歩むだろう双子を思って。

PC
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05/30(Sun) 17:22
血を分けた紅と蒼
冷斗

 ―――それから7年。
 エリア11名門校であるアッシュフォード学園高等部に、あの双子の姿があった。
 カレン・シュタットフェルトとライ・シュタットフェルト。
「それでね、さっきも一緒にアクセサリー買いませんか? って何人か集まってくるのよ。ほんとにもう、嫌になるわ」
「はは、相変わらずだな。君はそういうので飾らなくても、充分に魅力的だからな。また親衛隊が増えるぞ」
「そ、そんなことないわよ……ラ、ライだって、ファンクラブの会員が500人突破したって噂だけど?」
「僕の何が良いんだろうな。あまり目立ちたくはないんだが」
 昼休み、屋上で談笑していた2人の間に、携帯電話の着信音が割って入る。
 カレンが自分のものを取り出して確認すると、令嬢の顔が途端に引き締まった。
「どうした?」
「……ライ、扇さんから。放課後、集まれって」
「そうか……例の毒ガス、いよいよ決行かな」
「そうかも、ね……」
 兄ナオトが行方不明になった今、ライとカレンは自ら進んでレジスタンス活動に参加していた。
 ナオトが立案したというブリタニアの新兵器、毒ガスを奪取する計画。自分達は近々、行動を起こすだろう。
 だが、その先は? 毒ガスを奪った先に、何があるのだろう?
 こんな活動をしていて、ブリタニアを倒すことができるのだろうか?
 頼れる兄がいない、今の自分達が―――
「……行こう、カレン。次の授業に遅れる」
「うん……」
 2人は肩を並べて屋上を後にした。
 戦う理由ははっきりしている。ただ、力が足りないだけ。
 そんな2人が明確な『力』を手にするのは、もう少し先の話になる―――

PC
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