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04/14(Thu) 22:33
「ルルカレをぶっ壊す!!!」
しょう

お久しぶりです。

自分の妄想文に蒼月さんのL.L.を合わせたら話ができてしまいました。
(自分の妄想文だけではうまくまとまらなかったのが、L.L.が加わってまとまりました)
L.L.以外は私の設定を使ってるので蒼月さんの設定とは違ってしまいますが……、投稿してもいいですよね?

内容は題名の通りです。
ぶっちゃけルルカレフラグの桃をつぶしたいという思いだけでできています。

設定:
小説「朱の軌跡」ラストの続き(皇暦2010年夏時点)

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04/14(Thu) 22:36
しょう

「それじゃあ、お母さん、お兄ちゃん、行ってきます」
引越しの片づけが終わり、桃を片手にカレンは走り出した。前にいた町を出発する直前、見知らぬ少年からもらったものだ。
「遅くならないうちに帰ってくるんだぞ」
その背に向かって兄が呼びかける。が、その姿はあっという間に小さくなった。
「やれやれ、わが妹ながら呆れるな…」
10歳の少女とは思えない脚力に、兄は苦笑いで見送った。
カレンの行き先は、電車から見えた高台だった。町が一望できそうな場所だ。桃はそこで食べるつもりなのだろう。
「着いたっ!」
高台の上は公園になっている。が、カレンの家のある方向はちょうど木々に遮られて見ることができない。それが不満で、カレンはどんどん森の中へ入っていった。
視界が開ける。崖になっているのだ。そこからなら自分の家もよく見えるだろう。
その場所に、その人はいた。
銀色の髪、深い海のような色の瞳、表情に哀愁が漂い、身に纏う服は昔のブリタニア貴族のようで、まるで絵に描いたような光景にカレンは数瞬見とれていた。
「………」
男は無言でカレンのほうを見た。まだ20歳にもなってないだろう、『少年』と形容するべき年齢だった。
「あなた、誰?ここで何してるの?」
言ってから気づく。相手は明らかにブリタニア人なのだから、日本語で話しかけても分からないだろう。
そう思い、勉強中のつたないブリタニア語で話しかけようとするが、それより早く相手が口を開いた。
「誰、と聞かれてもな…。何をしているかなら答えられる。風景を見ていた」
日本語、だった。それも日本人と変わらないほど流暢な。そのことにびっくりしたカレンは桃を取り落としてしまった。
「おっと」
崖から落ちそうになる桃を、少年が拾い上げる。気をつけるんだな、と言い、それをカレンに手渡した。
「あなたのしてることって、それだけ?」
「そう、それだけだな。僕は何をしているんだか…」
変な人だ、とカレンは思った。しかし危ない人ではない、とも思った。理由は無い。ただの直感である。
「桃、食べる?」
これも直感だ。手渡す瞬間に垣間見た表情から、なんとなくそう思ったのだ。
「いいのか?」
「いいよ。お兄ちゃんが拾わなかったら、崖から落ちちゃってたもん。半分あげる」
それなら、とカレンの手から桃を受け取り、なんと日本刀を使って皮を剥きはじめた。長さからして短刀だろうが、日本刀を使うブリタニア人というのにカレンは再び驚いた。
「……手で剥けるよ?」
カレンが言葉にできたのはそれだけだった。どこから突っ込んだらいいのかわからず、言葉が出なかったのだ。
「桃は切り分けて食べるものだろ?」
そう言って削いだ果肉の一片をカレンに渡す。確かにかぶりつかれるよりこっちのほうが気分がいいので、カレンは何も言わないことにした。
桃はよく熟れていて、甘かった。

PC
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04/14(Thu) 22:40
しょう

「カレン!」
森の中に兄の姿が見えた。家を出てから結構な時間が経ったので、探しに来たのだ。
桃を食べ終わってからは特に話すことも無かった。謎の少年はただ風景を見ていただけで、カレンはただそれを見ていただけだった。
「駄目だろう、こんな危ないところに、知らない人と来るなんて」
「一言言っておく。私のほうが先客だ。私がいたところに勝手にやってきたのだから、勘違いされては困る」
この少年の口調が、二人だけのときとまったく違うことにカレンは気づいた。優しそうな感じが一切消え失せ、冷徹な、鋭い刃物を思わせる感じになった。
「…あ、それは申し訳ない。だけど、一人で来るのも駄目だ。崖から落っこちたらどうするんだ」
「……ごめんなさい」
「反省したのならもういいよ。さあ、家に帰ろう」
そう言って兄はカレンの手を引く。カレンに多少の後ろ髪を惹かれる思いはあったが、手を振りほどくことはしなかった。
「ちょっと待て」
二人を引きとめ、少年は短刀を外した。
「桃の礼だ。亡くなった妹の守り刀として打たれた物で、そこそこ価値はあるはずだ」
「いいの?大事なものなんでしょう?」
鞘や柄の細工も見事なもので、邪気や災厄を払うお守りとして作られたものなのだろう。そして亡くなった妹の形見でもあるものをもらっていいとは思えなかったのだ。
「売ろうが捨てようがかまわない。……私にはもう、持つ資格などないのだから」
哀しく、寂しい声だった。その声に受け取らなければ悪い気がして、カレンは短刀を受け取った。そしてそれを、兄に渡した。
「お兄ちゃんが持ってて。この刀が、お兄ちゃんを守ってくれるように。私のことはお兄ちゃんが守ってくれるから」
元々の持ち主だった少年は驚いたようではあったが、怒った様子はなく兄に言った。
「信頼されているのだな。妹を大切にしてやれ」
その言葉も哀しく、寂しいものだとカレンは思った。

PC
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04/14(Thu) 22:41
しょう

「ライ、良かったのか?妹の形見だろう?」
二人が去ってから少し後、森の奥からL.L.が姿を現し、いきなり問いかける。
「聞いていたのだろう?私にはあれを持つ資格など無い」
「だからといって人にやるものでもないだろう。あの少女に何か感じたのか?」
「…幼女趣味というのなら貴様に言われたくはない。私の妹を見たときの貴様の反応を見逃したとでも思っているのか?」
昔を思い出したL.L.が一瞬だけ見せた感傷だった。それをライはしっかり見ていたらしい。なるほど、だからこいつは俺を決して妹に近づけようとはしなかったのか、と、変なところでL.L.は納得した。
「そういう意味ではない。妹を思い出したとか、何かあるだろう」
「短刀を兄に渡したときは少し驚いたな。私の妹とまったく同じ行動をしてくれたのだから。だが、違うな。妹が『花』ならあの少女は…」
そこで言葉を切りふっと笑う。
「馬鹿なことを考えた。真っ先に思いついたものが『太陽』だ。おそらくあの赤い髪がそう連想させたんだろう」
その連想は意外に的確だし、なによりこいつが母親と妹の事以外でこれほど楽しそうに話したことは無い、とL.L.は思ったが、口にするのはやめにした。
「それより、ここは日本か?今の世はどうなっている?そして何故私を目覚めさせた?」
「ああ、ここは日本だ。お前が眠りについてから数百年という年月を経た、な」
道理で見知らぬものばかりだ、とライが小さくつぶやいた。だがその言葉には先ほどの少女に対する言葉とは違い、何か特別に感傷があるとは思えなかった。
「……お前は、日本という国には何も感じなかったのか?」
「母上の国だ。それだけだな」
その言葉もまた、淡々と事実を告げたというだけでしかない、冷たい言葉だった。
「ライ、この世界をどう見た?色はあったか?」
「色?物にはそれぞれの色があるだけだろう」
「その答えは『無い』と言っているのも同然だ」
そうL.L.が指摘すると、ライはさらに冷たい一言を言い放った。
「……そうかもしれないな。だが、もはや私の世界に色など必要ない」
まだ、ライの心の傷は癒えていない。この時代に連れてきても、心は過去に囚われたままだ。
「……いっそのこと、すべて忘れてみないか?母親のことも、妹のことも」
荒治療だ。過去をなくし、真っ白な状態でこの世界を体験させる。
「何だと?」
「今のお前に私の望みを話すことはできない。だから、生まれ変わったと思って新しい世界を生きてみろ」
「……生まれ変わってか。それもいいだろう。貴様の駒としても、そのほうが使いやすかろうし」
そういうことを言ったのではない、とL.L.は思ったが、何を言っても無駄ということも同時に理解した。
今のライには、L.L.の言葉は届かない。ただ契約を果たし、死を望む人形でしかない。

PC
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04/14(Thu) 22:44
しょう

「おやすみ、ライ。次に目覚めさせるのは、7年後だ」
記憶を失い、眠りについた男の顔は歳相応の少年のもので、とても伝説の『狂王』とは見えない。その寝顔に、L.L.は語りかけた。
「………お前はさっき、嘘をついた。色など必要ない、と言いながら、カレンだけはしっかり見ていただろう?」
自分自身でも気づいてないだろう、些細な、しかし重要な矛盾。
すべてを投げうってでも守りたかった母と妹を自らの力で殺してしまったライの絶望は、ある意味L.L.を上回る。今この男が生きているのは、『契約』という一事があるからでしかない。
その凍てついた心が、ほんのわずかだが動いたのだ。
「日本という国より、やはりお前には『誰か』のほうが心動かすのか」
母親の国を見せたのは、この先に起こるだろう惨状を見越してのことだった。ライが日本に対する愛着を持ち黒の騎士団に加われば、ブリタニアに対する憎悪だけだったルルーシュによる独裁集団に変化が生まれるかもしれないと思ったからだ。
しかしその考えによる影響は、一人の少女に及ばないという結果に終わってしまった。
「……『太陽』か。もしかしたら、あいつは本当にお前の凍てついた心を溶かす存在になるかもしれないな」
L.L.も、まさかここでライとカレンが出会うとは思ってなかった。この絆が、ギアスによって記憶を失ってもなお残るものであれば、この世界の理さえ凌駕してしまうかもしれない。
『王の力は人を孤独にする』
その理に、自分は負けた。だから、その先を見てみたいのだ。
だがそこで、L.L.の心は暗澹となる。
「俺はまた、カレンを利用するんだな…」
カレンを『太陽』とすれば、その光は自分という『闇』が呑み込んでしまったのだ、と今にして思う。
利用するだけ利用して最後はぼろ雑巾のように捨ててやる、と思ったのはロロに対してだったが、結果から見ればそうしたのはカレンに対してであった。
「俺はカレンを救う振りをして救わなかった。つまるところ、俺にとってカレンはスザクの代品に過ぎなかった。俺がこれ以上あいつを利用するなど許されることではないが…」
ルルーシュのことを愛していた、というのも本当にそうだったのか。カレンが敬慕したのは『ゼロ』であった。それは間違いない。だがゼロの正体を知って、その思いは屈折し、歪曲し、変なところで恋慕に繋がってしまったのではないか。
それは想像としても、もう一つ間違いないと言えるのは、決してハッピーエンドで終わる思いではなかった、ということだろう。
「……お前にはカレンも救ってやって欲しい。俺のような偽りではなく、本当の意味で」
そこまで言ってからふと気づく。これではまるで、いや間違いなくそうだろうが、自分の負債を全部ライに押し付けている、とL.L.は思った。
「……すまない。だが、俺はもうお前に賭けるしかないんだ。俺の望んだ、『優しい世界』のために―」
L.L.が立ち去り、神殿が静寂に包まれる。

皇暦2010年8月10日―
神聖ブリタニア帝国は日本に宣戦布告した。

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