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□嬉し恥ずかし初体験!?
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―それはある日の事―
「んっ、ライッ…!」
1人の少女が自らの部屋で淫靡な遊びに耽っていた。今彼女が着ているのはライと呼んだ少年から拝借したシャツ。
「はぁ…ライの匂い…んむっ…」
ライの匂いに包まれながら、少女は自らの秘所を弄っていた。クチュクチュと淫靡な水音が響き、彼女の下着はぐっちょりと濡れていく。
「んんっ…ライのばかぁ…私がこんなにしてるのにぃっ…ああっ…あっ!ダメェ…私…もうっ…!」
ベッドのシーツをくわえると抑えきれない想いをぶつけるように指を激しく動かしてラストスパートをかける。
「んんっ、んっ!…んん〜〜〜〜っ!!」
絶頂を迎え、少女はぐったりとベッドに横になった。
「はぁ…はぁ…学校…行かなきゃ…」
倦怠感を振り切って身体を起こすと、少女は着替えを始める。数分後、アッシュフォード学園の制服に身を包んだ少女は二人分のお弁当を手に取った。
「じゃあ…行ってきます、お母さん、お兄ちゃん」
誰もいない部屋にそう声をかけ、少女―紅月カレンは外へと飛び出していった…
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―舞台は変わる―
「くうっ…!カレン…カレンッ…!」
ここにいる少年も自室で淫靡に蠢いていた。カレンの裸体を浮かべながら少年は性器を擦り上げていく。
「ごめんっ…ごめんっ…でも止められないんだ…!カレンッ…もうっ…ぐううっ!!」
自らの欲望を吐き出した少年は直後強い自己嫌悪に襲われた。彼…ライは嗚咽を漏らし続ける。
「ごめん…カレンッ…ごめんっ…なんで…僕は…っ!」
自らの愛しい人を浅ましい欲望の対象にしている…ライはそんな自分をどうしても許す事は出来なかった…
『嬉し恥ずかし初体験!?』
―アッシュフォード学園・校門前―
「ライー!」
「カレン、おはよう」
「うん、おはよう、ライ!」
ライとカレンの日常はこうして声をあげながら走り寄る彼女にライが微笑む事から始まる。二人は挨拶を交わすと、並んで歩き出した。
「今日はカレンの番だったな?」
「うん!今日は自信作だから楽しみにしてて!」
「ふふっ、それじゃあ楽しみにお昼休みを待つとしよう」
ライは笑うと自然にカレンの右手を自らの左手で包み込む。
「あっ…」
「んっ…どうかしたか?」
「う、ううん!何でもない!(本当に自然にやってるんだろうなぁ…うん、やっぱりライは優しい…)」
無意識にカレンもちょっとだけギュッと力を込めてライの手を握り返す。二人はそうして恋人同士の距離を満喫するのだった……
―行政特区成立から早半年。世界は新しい歴史の動きに順応し始め、日本人の自由も少しずつだが取り戻しつつあった。
そして行政特区成立と同時に結ばれたライとカレンは今や有名なカップルである。
―しかし誰も知らない。既に行くところまで行っているだろうと思われる二人が…キスすら数回しかしていないという事を。
―アッシュフォード学園・体育館―
「よっと…」
ライの投げたボールがバスケットゴールを揺らし、それと同時にホイッスルが鳴り響く。
「勝者、生徒会チーム!」
「くああっ!あの三人が組んで勝てるわけねぇ!」
「卑怯だろ、あれは!」
周りの悲鳴も無理はない、彼らが相手にしたのは生徒会特別チーム…ルルーシュ、スザク、ライが同じチームという最強の組み合わせだったのだから。
「ふうっ…お疲れさま、ライ」
「スザクもな。他の二人は動こうともしないし…」
ライは汗一つかいていない二人…ルルーシュとリヴァルを見ながらため息を吐く。
「いや〜…スザクとライに任しとけば安心だしさ!」
「俺は指揮官としてちゃんと働いたぞ。何もしてないのはリヴァルだけだ」
「ひでぇ!?ルルーシュ、そこまで言うか!?」
「事実だろう?」
「ううっ、俺泣いちゃう…」
「まぁまぁ、落ち着いてよ二人とも」
スザクが二人を宥め四人は体育館の端の長椅子に腰掛ける。
「あっ、ライ、カレンだよ」
スザクが指差す先にはバレーボールで試合中のカレン。
「やっぱり生き生きとしているね」
「もう猫を被らずにいられるのが嬉しいんだろう」
「俺、まさかカレンが体育会系だったとは思ってなかったぜ」
口々に三人が話すなか、ライはじっとカレンを見ていた。たしかに生き生きとして、本当の笑顔も増えたとライも思う。
行政特区日本が成立する前、本当の自分を隠し続けていた日々からは想像も出来なかった光景。
「…うん、やっぱり良かった」
「ライ?」
「特区日本が成立して…本当に…良かった…」
「ライ…泣いてるのか?」
「えっ…?」
ライは頬に触れてやっと気付く。自分は…今泣いているんだと。
「おかしいな…涙が止まらない…悲しくなんてないのに…嬉しいのに…」
「いいんだ、ライ…それは…きっと嬉し涙だ」
「そうだよ、ライは悲しくて泣いてるんじゃない、嬉しくて泣いてるんだ」
「いいんじゃねぇの?そういう涙なら思いっきり泣いても」
「ありがとう…みんな」
ライは少しの間泣き続けた、自分の新しい居場所で…そこで出会った友たちの暖かい視線を受けながら…