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□バレンタイン・パニック!〜裏の章〜
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『バレンタイン・パニック!〜裏の章〜』
「んぁ…ライ…」
「僕の作ったチョコ、美味しい?カレン」
「うん…すごく甘くて…なんか、頭がぼーっとして…」
あれから半分近くのチョコを口移しで食べさせられたカレン。
最初は羞恥心やら何やらが勝っていたのだが、いつしか何も考えられなくなってしまっていた。
「ねぇ…もっとちょうだい、まだ口の中が苦いから…」
そうでなければ、カレンからこんなおねだりのような真似が出来るわけもない。
彼女は完全にライとのキスに酔っていた。
「まぁ、構わないけど…(まずいな…キスだけで止めようと思ってたんだけど…)」
ライとしてはカレンに勘違いされたり、チョコが食べられなかったりのお返しも含めての口移しであり、予定では2、3個食べさせて後は普通に渡すつもりだったのである。
しかし、段々とカレンの方が乗り気になり、それにつられるように口移しを続けた結果、半分近くのチョコを食べさせてしまっていた。
「んっ…はぁ…ライのキス、甘い…」
「っ…カレン…もうやめないか?そろそろ、色んな意味で限界なんだが…」
カレンの目は潤み、頬は上気して、息も荒い。
更にギュッと抱き付いてきているため、豊かな胸がライに当たっているのだ。
ただでさえ恋人とキスを繰り返せば、気持ちが高ぶるというのにそれにこれだけのものが加わればたまったものではない。
ライの理性は今やギリギリの綱渡り状態だった。
「何よ…始めたのはライの方じゃない…」
「それはそうなんだが…」
「むうっ…だったら最後までしなさいよ…私だって…その…限界だし」
カレンはライの胸に顔を埋めて、囁くように告げてくる。
色々と限界だったのは、ライだけではなかったのだ。
「じゃあ、カレン…僕の部屋に行こう…続きはそこで、な…」
「うん…」
ライはカレンの腕を引き、屋上を後にするのだった…。
tttt
「じ、じゃあ、シャワー行ってくるわね」
「ああ、行ってらっしゃい」
カレンがシャワーに行くのを見送ったライの目に、ふと半分以上減ったチョコの箱が映る。
「………………」
箱を見ながらしばらく思案していたライだったが、思い付いたように頷くと箱を持ってキッチンへと消えていった。
tttt
一方その頃、シャワーを浴びてぼーっとしていた頭が覚醒したカレンは自分の言動を思い返してその場に蹲ってしまっていた。
「…な、なんで私、なんでさっきはあんなこと出来たの…!?」
いくらぼーっとしていたとはいえ、先ほどまでの自分はカレンにとってショックもいいところ。
「ううっ…絶対ライに、エッチな子だと思われた…」
そんな思考から逃れられないまま、カレンはライの元へ向かう。
「ライ…終わったわよ…」
「じゃあ、僕も行ってくるよ」
ライがシャワーに向かうのをカレンはぼーっと眺めていた。
テーブルの上にあったはずのチョコが消えていることに気付かぬまま…。