長編 蒼と紅の軌跡

□TURN 15 魔王と魔女
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かつて愛されたいと願った少女がいた。
かつて世界を思い悪を演じた少年がいた。
しかし二人の願いは脆くも崩れ去り、少女は魔女として疎まれ、少年は世界から消えた…
そんな彼らは…それぞれ力を望む者と契約した…


『TURN 15 魔王と魔女』


「ルルーシュ…まさか君が僕の契約者だったなんて…」
「ライ…今の私は…L.L.だ。ルルーシュという名前は…既に捨てた。そんなことより…」

L.L.はそう言って…深々とライに頭を下げる。いきなりのことに彼が戸惑っていると、L.L.は掠れるような声で喋りだした。

「ありがとう…シャーリーを助けてくれて、感謝するっ…!」
「ど、どういう意味だ、L.L.?シャーリーを助ける…?」

ライは自分がシャーリーに対して何かしたか…?と考えていると、L.L.はそれを察したのか衝撃的な言葉を言い放つ。

「シャーリーは、本来ならもう生きていないはずなんだ…」
「なっ!?それはどういう!?」
「…いいだろう、教えてやる。なぜルルーシュという存在が二人いるのか…そして、私の歩んできた道を」


tttt


「まず…私はこの世界のルルーシュと同一の存在ではない…ライ、お前はパラレルワールドという言葉を知っているか?」
「平行世界の概念か…世界は枝分かれしているという…」
「そうだ、そんな枝分かれの1つから…私はこの世界にやって来た」

L.L.が語り出したのは、到底普通の人間ならば信じられないであろう話。しかしライはそれすら可能にしてしまうであろう力を知っていた。

「それもギアスの力なのか?」
「さぁ、な…」

誤魔化すように視線をそらしたL.L.にライは首を傾げるが、彼は続けるぞ、とその反応を無視するように続きを話し始める。彼が元々いた世界で何があったのかを…

「私がいた世界には…ライ、お前はこの時代に存在すらしていない。ブリタニア史に載っている偉人…お前はその程度の存在だ」
「っ!!?僕は、みんなと出会えていない…?」
「あぁ、そして…シャーリーはロロに殺された」
「嘘、だろ…?ロロが、シャーリーを殺すなんて…」

ライには信じられなかった、自分の知るロロはシャーリーに心を許している。そんな彼がシャーリーを殺す光景…どうしても想像できない、したくもない。

「全ては…お前がロロに教えたからだ、大切なものがルルーシュだけではないと」
「…君はどうしたんだ?シャーリーを失った君は…」
「…私は…ギアス嚮団にいる全ての者を虐殺した。女、子供、老人問わずにな」
「っ!!」

さらにL.L.は向こうの世界では卜部や仙波も既に死んでいると語る。ライは驚きに目を見開いていた、あまりにも…あまりにも違いすぎる、L.L.がいた世界と自分が生きているこの世界が。

「そして私は…ある計画を実行したんだ。その名は…ゼロレクイエム」
「ゼロレクイエム…どういう経緯でその計画を?」

L.L.がさらに語ろうとしたその時…周りの白い風景がグニャリと歪む。ライが驚いて周りを見れば、白い世界は黒く塗り潰されようとしていた。

「L.L.、これは!?」
「……すまない、どうやら…時間切れらしい」
「なんだって?」
「…私は元々この世界ではイレギュラー。そんな私が行使できる力もこの世界のコード保持者に比べればずっと弱い…だが」

L.L.が手をかざすと消えゆく空間に一本道が現れる。どこまでも続いている道の先にはほのかに明かりが見えた。

「…この道を進め、そうすればきっとルルーシュ達の下へたどり着けるはずだ」
「ルルーシュ達は、今どこにいるんだ?」
「…Cの世界…今頃そこでルルーシュは教えられているだろう…C.C.の願いを…」
「C.C.の…願い?」

訝しげに訊ねてくるライにL.L.はどこか虚ろな目でポツリと答える、魔女と呼ばれた彼女がずっと望んでいた願いを…


「C.C.の願いは…死ぬことだ」
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