短編

□心の在処
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君が僕と同じハーフだとわかった時、すごく嬉しかった。
だけど…僕はどっちなんだろう?君と同じ日本人?それともブリタニア人なんだろうか?僕は一体……。


『心の在処』


―ライの自室―

「はぁ…」

ライは悩んでいた。

他ならない自分がハーフであることをカレンに話すかどうかで。

(カレンにはそろそろ話すべきなんだろうけど)

カレンは同じハーフでありながら自分は日本人だと迷う事無く言っている。

「でも僕はブリタニア皇族の血を引いている…」

ブリタニア皇族であれば日本人を差別していた可能性が高い。
そんな自分をはたしてカレンは受け入れてくれるだろうか?
そう思っただけでライは恐くなる。

「くそっ…」

もし自分がブリタニア皇族の血を引いていなければ…そんな『もしも』を考える。
最近はほとんど毎日そんな思考に囚われていた。

「僕はこんなに弱かったのか…?」

以前のライだったら、こんな風には決して思わなかっただろう。
しかし今のライは拒絶を何よりも怖れていた。
特に生徒会メンバー…更にその中でもカレンには。
記憶を失った自分を受け入れてくれた愛しい人。
彼女に拒絶されたら心が壊れてしまいそうで。

「でも…何も話さないのは、それこそ彼女に対する裏切りだ」

カレンはライを信じて自分の秘密を話してくれた。
それを考えたら『話さない』という選択肢などライにはない。

「行こう…カレンに会いに…」

ライはゆっくり立ち上がると、自室から出ていく。
―向かう先は…シンジュクゲットー。
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