短編
□双璧の誓い
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君がそばにいて笑顔でいる、それだけで僕は幸せなんだ。
だから、君の笑顔のために僕は戦うって決めたんだ……。
『双璧の誓い』
―生徒会室―
「ふう、今日の仕事はこれで終わりか。カレンはどうしてるかな?」
ライは生徒会の仕事を片づけ、カレンの事を考えていた。
ブルームーンの日にカレンと晴れて恋人同士になってからライは黒の騎士団に入団したい、とカレンを通じて頼んでいたのだが、中々色好い返事がもらえていなかったのである。
(多分カレンが裏で動いて騎士団に入るのを阻止してるんだろうな…)
ライは最近になって入団できないのは、カレンが入団できないように動いているのだとようやく気付いた。
カレンが大切な人を失う事を極端に恐れている事は、彼女の話を聞いて知っていたのだが、
(僕も彼女の大切な人の一人になれたのは嬉しいけど…)
それでも、いや、だからこそライは黒の騎士団に入団したかった。
(守られるだけと言うのは性に合わないし…なによりも、大切な人を守りたいのは君だけじゃないんだぞカレン…)
実のところライもカレンと同じく大切な人を失う事を恐れている。
(僕も過去に大切な人を失った経験があったんだろうな…)
記憶が無いライだが何故か確信していた。自分はかつて守れなかったということを…、だからこそ今度こそ守りたいと強く思っている事を…
(だからカレン…ごめん。僕は君の想いを裏切ってしまうだろうから…)
ライは決心していた。黒の騎士団のアジトに行き、入団を直訴することを。
「前回は結局行けなかったからな…行こう」
ライは黒の騎士団アジトに向かう為、生徒会室を後にした。