キリリク文

□在りし日の幸せ
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この前カレンと一緒にルルーシュと話したんだ、幸せに形があるとしたらどんな形だろうって。

ルルーシュはガラスのようなものなんじゃないかと言っていたけど私にもライにもよくわからなかった。

だけど、優しい世界が案外近くにあると言うのは当たってると思うんだ…

だって私達の優しい世界は…本当に近くにあったから。


『在りし日の幸せ』


―アッシュフォード学園・生徒会室―


「やっ、あっ!シャ、シャーリー…そこ、ダメ!」

その日生徒会室にはカレンのあられもない声が響いていた。その声だけを聞いているととんでもない事をしているのではないかと勘繰りたくなるほどの。

「わ〜お、なんか…」
「えっち…」
「今どうなってるんでしょう…気になります」
「あはは…ごめんね、カレン。きつかったかな?」
「う、ううん…ちょっと、ビックリしただけだから…」

むろんいかがわしい事をしていたわけではない。ただミレイが企画し、今度行われる事になったハンドメイドドレスパーティー、その衣装合わせをしているだけである。

「期待しててよ〜!こう見えてもシャーリー、裁縫の腕だけは確かだから!」
「だけってなんですか!だけって!……そりゃ料理は彼氏持ちのカレンには敵いませんけど…」

ブツブツと呟いてるうちに力が入ってしまったのだろう、カレンの顔がキツそうに歪んだ。

「ちょっ、シャーリー!きつい、きついってば…!」
「あっ、ごめん!……でもカレンはいいよね…私なんてルルとまだまだ…ふふっ、ふふふ…」
「正に持つ者と持たざる者の縮図ってやつね〜…」
「ミレイちゃん、それ言ったらカレン以外皆持たざる者だよ…?」
「…ニーナもなかなかキツいこと言うわね…」

何となくその場の空気が重くなり、カレンが「えっ?これ私のせい?」なんて考えてしまうなか、それを払拭しようとしたのかナナリーが努めて明るい声を出した。

「で、でも楽しみですね!今度のハンドメイドドレスパーティー!」
「……でしょー!これならさ、オートクチュールのブランドと値段を競うようなつまんないパーティにはならないし!」
「はい!素敵な企画だと思います!」

ナナリーの気遣いにミレイが乗り、少しずつ重い空気が解消されていく。しかし1人だけそれが効いていない人物がいた。

「やっぱり胸なのかな…カレンのおっきいからきっと色んな男子が…もしかしたらルルも…」
「ひぁんっ!?ちょっとシャーリー、どこ触って…!」
「でもでも、カレンにはライがいるんだから心配ないよね…」
「だからっ…いい加減に戻ってきてよーーーっ!!」

トリップしながら色んな所を触ってくるシャーリーに猫被りも忘れてカレンは叫ぶ。結局シャーリーはその後ミレイに引き剥がされるまでカレンを弄っていたのだった…


††††


「あっ、そうそう、カレンは誰にエスコートしてもらうかってもう決めた?」
「はい?」

あれからシャーリーがトリップしたまま帰ってこないため生徒会女子メンバーは休憩を兼ねたお茶会をしていた(シャーリーはカレンの身代わりとして差し出されたタバタッチのぬいぐるみを弄ってブツブツと呟いている)。

「だからパーティーのパートナーよ〜!」
「…言わなくてもわかってるんじゃないですか?」
「そりゃ、カレンのエスコート役はとっくに決まってるだろうけど一応聞いときたいから」
「私の口から言わせたいだけなんですね…」

カレンは恥ずかしくてはっきりと名前をあげるような真似はしたくなかったのだが、ここで躊躇って他の人が彼にエスコートされるのはもっと嫌だった。

「わかりました…言いますよ。私がエスコートしてほしいのは…「もしかしてルルにっ!?」はぁっ!?」

復活したかと思えばいきなりわけのわからない事を言い出したシャーリーにカレンもすっとんきょうな声をあげる。いったいどんな妄想をすれば恋人を差し置いて他の男をエスコート役に選ぶというのだろうか…我慢ならずカレンは立ち上がって叫んだ。

「違うわよ!ライに決まってるじゃないっ!」
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