キリリク文

□アッシュフォード学園水着盗難事件
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―それは行政特区日本が成立してから、数ヶ月後…アッシュフォード学園生徒会で一つの事件が発生した。


『アッシュフォード学園水着盗難事件』


―生徒会室―


「う〜ん…おかしいわね。確かにここに置いたと思ったんだけど…」
「…何してるの、カレン?」

生徒会室に遅れてやって来たシャーリーは、机の下をゴソゴソやっているカレンを見つけ、声を掛けた。

「あっ、シャーリー。ねぇ、私の水着知らない?」
「えっ?水着無くなっちゃったの?」
「えぇ…確かにこの生徒会室に置いたはずなんだけど…」

机の下から這い出てきたカレンは、スカートについた埃を払い、うーん…と首を捻る。

「他の場所ってことは無いの?」
「私もそう思って、一応教室や水泳部も探したけど、無かったわ」
「そっか…じゃあ私も探すの手伝うよ!水泳部の助っ人頼んだの私だし…」


カレンは行政特区が成立してから本来の『紅月カレン』として学園に通うようになった。
元々自由な校風だったアッシュフォード学園は彼女を受け入れ、カレンは再び生徒会メンバーとして復帰。
更にその運動神経の高さから様々な部活の助っ人として駆り出される事も多くなり、笑顔も増えた。

「ありがとう、助かるわ」
「ううんっ!いつもルルの話聞いてもらってるし!」

その中でもカレンとシャーリーは親友と呼べる仲になっている。
その仲の良さはカレンの恋人であるライが『少しだけ妬けるな』と言うぐらいなので、どれだけいいかは想像出来るというもの。

「うーん…でも心当たりは全部探したんだよね?」
「うん…「これは事件ね!」会長!?」
「俺もいるぜ〜!」
「二人とも…こんにちは…」
「リヴァルにニーナまで…」
「会長、事件ってどういうことですか!?」

カレンの言葉にミレイは指を立てて「簡単な事よ」と語りだした。

「心当たりは全て探したはずなのに見つからない。つまり誰かが故意にどこかに持っていったって事よ!」
「そんな単純な…」
「で、でもカレン、他に心当たりは無いんだよね?」
「それは…そうだけど」
「やっぱり事件なのよ!そして犯人は……生徒会メンバーの中にいる!」
「「っ!?」」
「生徒会室には生徒会メンバーしか出入りしない。だったら生徒会メンバーの中に犯人がいるって考えるのが自然じゃない」

ミレイが余りにも自信満々に言うものだから、カレンとシャーリーはだんだんとその言葉を信じてしまっていた。

「さて、まずは…リヴァル〜〜〜〜ッ!!」
「えええぇっ!?なんでそこで俺が疑われるんすか!?大体俺とニーナはさっきから会長と一緒にいたじゃないですか〜! なぁー、ニーナ」
「そうだよ、ミレイちゃん…私達、ずっと一緒にいたよ…」
「大体…俺が盗むんならカレンなんかじゃなくて会長の方を…」

シュッ!プスッ…

「ぐっ…」

バタッ

「えっ!?ちょっとリヴァル!?」

リヴァルの首には何故かペンが刺さっていた…


††††


「あれ?おかしいな、ペンはどこにいったんだ?」
「……………(今ライが窓に向かってペンを投げたような…いやいや、いくらなんでもそれはない。ゼロの仕事が忙しかったから幻覚でも見たんだろう。そうだ、そうに決まっている…!)」
「(なぜだろう…さっきカレンが誰かにバカにされたような気がしたんだが…ペンがなくなった事と関係あるんだろうか?)…?どうした、ルルーシュ」
「いや、何でもない。それよりお前の番だぞ」
「ああ、そうだったな…」
††††

「う〜ん…リヴァルとニーナ、後私はシロね。カレン、本当に他の場所ってことは無いの?」
「水泳部の活動は終わった後でしたし、その後は真っ直ぐに生徒会室に来ましたから…」
「えっ、使用済みなの!?ああ〜、完全にアウトね、それ…」

ミレイが頭を抱えたのを見て、カレンは嫌な汗が流れるのを感じた。

「さてと、じゃあ次はシャーリーね!」
「えぇーーっ!?何で私がカレンの水着を盗まなきゃいけないんですか!?」
「そうですよ、いくら会長でもシャーリーをバカにしたら、許しませんよ!?」
「麗しい友情ね〜、でもそこにルルーシュが関わってたら、どうかしら〜?」

カレンはため息をつくと、ミレイをジト目で睨む。

「あのですねぇ…何度も言ったと思いますけど、私が好きなのはライだけです!ルルーシュなんて眼中にもありませんから!」
「カレン、いくらなんでも言い過ぎだよーっ!?」
「だっていつまで経っても、あなたの気持ちに気付かないじゃない!?」

かしましく恋愛談義に入った二人をミレイは楽しそうに眺める。

「いや〜、青春ね〜!」
「ねぇ…ミレイちゃん、リヴァルはあのままでいいの…?」
「あー…大丈夫でしょ、多分」

……哀れリヴァルは放置と相成ったのだった。


††††


「いや、カレン…そんな好きだなんて…」
「……………(ライはさっきから何をブツブツ言ってるんだ…?そして何で俺は心がこんなに痛むんだ…)」
「確かに僕も好きだけど…んっ?ルルーシュ、君の番だぞ」
「ああ…そうだな…」
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