季節の小説

□幻の美形の恐怖体験
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―数時間後―

「よし、これで終わりだな…」
「お疲れ様、ライ。はい、お茶」
「ああ、ありがとうカレン」
「ううん、私にはこれくらいしか出来ないから…」
「そんなことないよ。君がいてくれるだけで僕は…」
「ライ…」
「カレン…」
「ゴホンッ!ゴホンッ!」
「「………………」」

ダンッ!ダダンッ!ダンッ!

「グオアアアアアアアアアアッ!!!」
「「うるさい(わよ)ぞ、ルルーシュ」」

僕達がそんなやり取りを行うなか向こうでも話がついたのだろう、ミレイさんが立ち上がり宣言した。

「皆!肝試しをやるわよーーー!」
「ええ〜っ!?本当にやるんですか?会長〜!」

シャーリーが嫌そうな声をあげるがミレイさんが何かを耳打ちするとあっという間に賛成に。スザク、リヴァル、ニーナも次々に賛成する中、完全に僕達三人は置いていかれていた。

「…肝試しって何だ?ルルーシュ、君は知ってるかい?」
「ふっ、当然だ。肝試しというのは「まぁ、自然のお化け屋敷を歩くようなものだよ」…スザク、お前…!」

言葉を遮られたルルーシュがスザクを睨むが、正直僕はそれどころではない。

「スザク…!今『お化け屋敷』って言ったか!?」

詰め寄る僕に驚きながらもスザクは頷いた。僕は先程から黙っているカレンを見る。

(うわ…)

カレンはそれはもう爽やかな笑顔を浮かべていて。だけど判る…というか僕は知っていた。
…カレンはお化けの類いが苦手なことを。

「あの…ミレイさん…それはちょっと…」
「何よ、ライ〜!もしかして…怖いの?」
「なっ!?」
「まぁ…ライがど・う・し・て・もって言うならしょうがないけどねぇ〜〜〜」
「な、な、な…(くっ…!耐えろ!耐えるんだ、ライッ!これは明らかに挑発!これに掛かったら肝試しが行われることに…!カレンの為にもここは肯定するんだ!)」

僕はプライドをかなぐり捨てて口を開く。

「どう「何を言い出すのよ!?ライがそんな怖がりなわけないじゃない!!」…………」

しかしそんな僕の決意は他ならぬカレンによって破壊された。

「じゃあこれで決まりね!」
「あっ…!」

カレンが『しまった!』といわんばかりの顔になったが、時すでに遅し。カレンは半分涙目で僕を見るがこうなってしまってはもう僕にはどうしようもない。
ミレイさんの笑顔を見た瞬間から僕は悟っていた。

(ミレイさん…初めからこれが狙いだったんだな…だけどまだルルーシュがいる…!)

僕は最後の砦であるルルーシュを見る。しかし…

「会長、俺も賛成です」
「あら、ルルーシュにしては珍しいわね」
「えぇ、少し思うところがあるので…」

ルルーシュはそう言うと僕とカレンを見てニヤリと笑った。

「ーーーッ!(ルルーシュ!さっきの仕返しのつもりか!?)」
「…ッ!(あんた、陰険にも程があるわよ!)」
「たまにはこういうのも悪くないですから(フハハハハハッ!俺を怒らせるからこうなる!)」

さらにルルーシュは僕達から離れ、シャーリーの隣に移動、これで僕とルルーシュの間にシャーリーが位置する形になる。

「くっ…!(これじゃ、ルルーシュに攻撃出来ない…!ルルーシュッ!女性の影に隠れるなんて恥ずかしくないのか!?)」
「(最低っ…!それでも男なの!?)」
「どうした、ライ、カレン?(何とでも言うがいい!お前達がどう足掻こうと俺の勝ちは揺るぎはしないのだからなっ!フッ、フフッ、フハハハハハッ!)」
「「((ルルーシューーーッ!!))」」

僕達はこの時忘れていた。
この生徒会の最大のイレギュラーの存在を。

「ん〜〜、なんか物足りないわよね…そうだ!」

何かを思い付いたらしいミレイさんに僕達は嫌な予感がした。

「二人一組のチーム対抗にして、最下位だったチームには罰ゲームをしてもらうわ!」
「何ぃ!?」

この言葉に真っ先に反応したのはルルーシュだ。

「会長〜、罰ゲームってどんなことやるんですか〜?」
「よく聞いてくれたわ、リヴァル!それはね…これで決めるわよ!」

ミレイさんが取り出したのは見た目は普通の箱だった。

「この中に色んな種類の罰ゲームが書かれた紙が入ってるから一人づつ引いてちょうだい」
「…随分用意が良いですね…」
「実はこれ今度の生徒会企画で使う予定なのよ。ちょうど良い機会だから試してみよう、ってね」

(今度、一体何をやらされるんだろう…)

その時、皆の心の中は一つになった。

「あの…罰ゲームって一体どんな…」
「色々あるわよ。一日生徒会の雑用係になるとか、一日生徒会の仕事を多めにやってもらうとか、ね。でもやっぱり目玉はこれね!」

そう言ってミレイさんが取り出した紙に書かれていた内容に生徒会メンバーは固まった。
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