キリリク文

□アッシュフォード学園水着盗難事件
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「…じゃあ次は…」
ミレイの言葉に合わせたように生徒会室にスザクが入って来た。
「こんにちは。……あれ、みんなどうかしたの?」
「おっ、新たな容疑者の登場ね!」
「スザク君が?まさか、そんな…」
「いいや、わからないわよ〜!スザクって真面目そうに見えるけど、私の見立てだと間違いなく…ムッツリねっ!」
「ムッツリ…」
「えっ?スザク君ってルルーシュが好きなんじゃ…?」
「…ニーナ、ユーフェミア様とスザクが付き合ってるの、そんなに認めたくないの?」
陰でコソコソと話すミレイ、シャーリー、ニーナを尻目にカレンは単刀直入に聞く。
「スザク、私の水着盗んだのあなたなの!?」
「えぇ!?いきなり何を言い出すのさ!僕がそんな事するわけないじゃないか!」
「ふんっ…どうだか!私を押し倒した前科があるって事、忘れたわけじゃないでしょうね!?」
「ちょっとカレン!?そういう誤解を招く言い方は…!」
スザクが止めようとするが、カレンの発言は生徒会室に響き渡り、そしてその声は彼にも聴こえていた……。
tttt
バキッ!
「ふふっ…あれ?おかしいなぁ…この駒、ちょっと脆弱じゃないかな…?どう思う、ルルーシュ(にっこり)」
「そ、そうだな(何なんだ、この異様な雰囲気は!?こいつのこの覇気…馬鹿な、皇帝以上だと!?なぜだ、なぜなんだライ!俺とのチェスは楽しくないのか!?)」
ポーンの駒を握り潰しながら、聞くライの眼は笑っておらず、ルルーシュは戦慄しながらも、的外れな思考を展開する。
「ルルーシュ…悪いが今日はここまでにしよう。僕は急用が出来たからこれで…」
「あ、ああ…またなライ…」
ルルーシュは見た。
部屋を出ていく直前、ライが懐から月下の起動キーを取り出したのを……。

tttt
一方、生徒会室ではスザクが尋問されていた。
「スザク君、カレンを押し倒したって本当なの!?」
「お、落ち着いて、シャーリー!あれは事故で…」
「まさか、本当にムッツリだったなんてね〜」
「会長!?僕はそんなふうに見られてたんですか!?」
「そんな汚れた手でユーフェミア様を…!」
「待ってよ、ニーナ!ガニメデを起動しないで!」
「うーん、無いわね…」
「ちょっとカレン!何で僕の荷物漁ってるの!?」
「荷物検査よ、会長から許可はもらってるわ」
「いやいや!僕の許可は出てない…ーーッ!!」
「…スザク?」
スザクが急に俯いて黙ってしまった事に、生徒会メンバーは訝しげに見詰める。
「俺は…」
顔を上げたスザクの眼は赤く縁取られていた。
「俺は…生きるっ!」
いきなりそう叫んだスザクは窓に向かって走り出す。
「ぐえっ!?」
…リヴァルを踏みつけて。
「ちょっとスザク!話はまだ…!」
「知ったことか!俺は…生きなきゃいけないんだっ!!!」
スザクは窓を開くとそこから飛び降りて、走っていった。
「何なのよ!…えっ?」
カレンは見た。スザクの背後に、よく知っている蒼いナイトメアが迫っているのを。
「あれって…月下!?」
月下がハンドガンを撃つが、スザクは驚異的な反射神経でそれを避けていた。
「……………」
バタンッ…
カレンは窓を閉めると、頭を振って窓から離れていく。
後ろから聞こえてくる輻射波動の音や廻転刃刀の駆動音や、怒号や悲鳴は聞かなかった事にした。
「さて、後は…」
ガチャ…
「んっ?何の騒ぎだ?」
次の生け贄…もとい、容疑者のルルーシュが現れた。
tttt
「スザァァァクッ!!この下郎がぁぁぁっ!」
「俺は生きるんだぁぁぁぁぁっ!!!」
tttt
「何?カレンの水着が盗まれた?」
「そうなの!だから一人ずつ調べてるんだけど…」
「だから、リヴァルとスザクはあんなことになっているのか…」
「さぁ〜ルルーシュ、さっさと吐いた方が楽になるわよ〜!」
ルルーシュは深々とため息をつく。
「会長…これは会長が煽った結果ですか…」
「煽ったなんて失礼ね〜。私はただ推理しただけじゃない」
「推理だというのなら、真っ先に疑うべき連中がいるでしょう?」
「それってまさか…」
ルルーシュは外の爆発音を聞き流しながら、生徒会室を見渡して告げた。
「そう…カレンの親衛隊だ」
「えっ!?でもあいつらはライが…」
そう、カレンの親衛隊は最近目に余る行動が多くなり、ライが壊滅させたはずなのだ。
「あの惨劇を逃れた連中がまだ裏で暗躍しているらしいからな…おそらく今回もそれだろう」
「あいつら…!私ちょっと行ってくる!」
「いや待て、お前一人じゃ逆に危険だ!ここはライを呼んで…」
ルルーシュがカレンを止めようとした時―
ドォォォォォンッ!!
地面が―揺れた。
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