シルヴァネル・ソル

□End of Dream
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そして、その日世界は壊れた。



レイヴンに名を与え、禁足地の森にはいってから数日。
マリスは空気がひび割れたような気配を感じていた。

『クロウ』がやたらと飛び交っているのだ。

『クロウ』とは、女神の天敵、黒き翼の大烏と呼ばれている。
しかしその実態は女神と同一の存在。
いや、女神がクロウと同一なのだ。

この閉じられた世界『シルヴァネル・ソル』の外側。
世界樹『タスティエーラ』の力の欠片。
つまるところ、世界の端末が『クロウ』なのだ。
そのクロウを取り込んだ元・人間が女神。

本来の世界では、『魔王』と呼ばれる存在。
それがこの閉鎖世界の神だ。

マリスは知っていた。
500年前に犯した罪の過程で、『クロウ』の欠片をその身の内に取り込んだから。

だが、マリスは『魔王』ではない。
そこまでの力は持たない。
不老ではあるが、不死ではない。
だから、『魔女』

女神の一人、ロゼフィーネの消滅に荷担し、あげく力の一部を奪い取った罪人。


「マリス…?どうしたんだ」


心配そうに近付くレイヴン。
闇夜を照らす焚火の柔らかな光にその輪郭をぼやかして。


(ごめん…ごめんね……)


『クロウ』の欠片を持つからこそ、気が付いた。
今、なぜクロウが集まり出したのかを。
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