宝物庫
□土方の不満。
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「だからだな。…てめぇが俺と付き合ってんのは甘味を奢らせるためかって聞いてんだ。」
聞き間違いであることを期待していた銀時だったが、その事実は覆ることはなかった。
「なんでだよ…」
「だってお前、いつも俺と会う時は奢らせるし。デートはいつも甘味屋だろ。それじゃ、お前俺と付き合ってんのは甘味のためみてーじゃねぇか。…もし、そうなら俺は……………っ!?!」
土方は最後まで言葉を紡げなかった。何故なら銀時が堪らず、机の上にあった冷水を土方に向かってかけたから。
「つめてェ……てめっ、何す…」
文句の一つでも浴びせてやろうと濡れた髪を掻きあげながら顔を上げたが、銀時が涙を溢していることに気づき目を見開く。
「ばっ、かやろ…そんなわけねぇだろ…奢らせるために付き合ってるとかそんなの…あるわけな…ぃ…っ!!」
おえつを溢しながらそう告げると、土方に背中を向け店内から出て行ってしまった。…その背中が何処か、いつもより頼りなげに見えた…。
引き止める間もなく、土方は呆然とそこに座り込んでいた。
「んだよ、アイツ…。」
はっきり言って、銀時の心が分からなかった。どうして泣くというのか。…否、分からないと言えば自分の気持ちも同様であった。