貢ぎ物 弐

□策士、策に溺れる
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  策士、策に溺れる






 銀時は怒っていた。


 普段、怒ることさえ面倒だと言わんばかりに自堕落な銀時が、この時ばかりは怒っていた。







 何故なら、まんまと一杯食わされたからである。













 銀時は、人を(泣かない程度に)からかったり、(マジギレしない程度に)怒らせたり、(いじめを自覚しない程度に)イジる事に結構な労力を費やしている。

 銀時は相手がどういう反応を返すか予測した上でそれを楽しむという若干歪んだ性格をしていた。その被害者は主に恋人である土方だったり、非常識人の集まる万事屋で比較的常識的な新八だったりする。


 そんな彼らが、怒るのも億劫になる程度には、銀時の悪戯は繰り返されてきた。





 が、今までの悪戯を総決算したとしても、これはやり過ぎだろうと銀時は思う。


 鮪漁船に乗っても、内臓を売っても間に合わないくらいの高利にあった気分である。











 そんな気分の銀時を、さも楽しそうに眺めている恋人が、さらに銀時の機嫌を悪くしていた。





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