貢ぎ物 弐
□二人の世界
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二人の世界
真選組副長・土方 十四郎は、本日も仕事に明け暮れていた。
溜まりに溜まった(主にスナック通いに忙しい局長と、悪戯ばかりに精を出す一番隊長が溜めた)書類仕事を漸く目度が立つまで片付けて、気分転換がてらの見回りの最中である。
土方にとって、巡回はちょっとした運試しの場でもある。
それと言うのも、恋人である坂田 銀時。彼は万事屋なんて商売をしていて、江戸中に枝葉を広げている。けれど、そんな恋人との遭遇率は中々に低い。
何しろ銀時の行動範囲が広すぎる。
土方がある程度決められた巡回ルートを毎回ほぼ同じ時間に歩いていたとしても、一方の銀時はそれこそ江戸中を、何の規則性も持たずに縦横無尽。遭遇率が低いのも頷ける。
だからこそ、視界の先に見つけた輝く銀色に、土方の胸は踊った。
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