宝物庫

□缶おしるこ
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例えばその冷たい冷たい手を温めるにはどうしたらいいかとか、考えてしまうわけだ。

まあ、答えは一つだけれども。







____缶おしるこ









「てめぇこんなとこで何やってんだ?」
「多串くんこそ、コーヒーとおしるこ持って何してんの?マヨネーズに次ぐ新しい味の開発ですかぁ?」


多分今の俺は銀時の発言に、漫画的な表現で行くなら米神に筋が立っている状態だが、銀時の言うとおり右手に缶コーヒー、左手に缶おしるこという間抜けな状態であることは否めなくて、何も言い返すことが出来ない。

公園のベンチ。
一人で座って空を眺めるコイツを見つけてから、気付いていたら取っていた行動に自分でも反吐が出そうだ。


「…別に、不審者がいたから声かけただけだ」
「飲み物付きだなんて親切な職質だね」
「うるせぇ、いらねぇのか?」
「ありがたく頂戴します」


差し出した缶おしるこを受け取ったのを確認して、隣に腰掛ける。右手のコーヒーを飲もうと缶タブに指をかける。


「あっち」
「あ?」


不意に耳に届いた声に、銀時のほうを見れば、舌を出して顔をしかめている。これは明らかにあれだ。舌を火傷した時の行動。馬鹿じゃないのか?


「お前猫舌の癖によく冷まさなかっただろ」
「仕方ないだろ、小豆が俺を呼んでたんだよ」


すまん、馬鹿だったな。小豆がお前を呼ぶことなんてまず無い、ありえない(マヨネーズはいつだって俺を呼んでるがな)。


「あ〜あ、なんか上のほう皮ペローンてなってるわ」
「ふ〜ん」
「うわ、なにその無関心腹立つ」


そういって自分の口の中を舌であさる銀時は、少なくとも今現在俺には無関心だ、腹立つ。あぁ確かに腹が立つな、腹が立つからちゃんと関心を示してやろうじゃねぇか。


「どれ、見せてみろ」
「あ?ん!?」


銀時の唇を塞いで、舌を差し込む。開いていた口に、簡単なことだ。咥内を嘗め回す。上のほう、を撫でれば少し鉄っぽい味がして、少し痛いのか銀時の体が強張って、少し舌をずらせば確かに皮がペローンと。


「確かに皮ペローンってなってるな」


口を開放して、いの一番に言ってやる。すると銀時の顔は見る間に湯気が出そうなくらいに真っ赤に染まる。


「バッカじゃねぇの」


拗ねやがった。顔どころじゃない耳、首筋まで赤い。可愛い。


「っつーか痛ぇんだよクソ」
「はいはい」
「マジお前意味わかんねぇ」
「はいはい」
「缶とかけちくせぇし」
「じゃあ今から団子屋行って、ちゃんと汁粉食うか?」
「ん」




例えばその冷たい冷たい手を温めるにはどうしたらいいかとか、考えてしまうわけだ。

まあ温かいものを与えてしまえばそれが一番なんだけれども。
その温かいものが何なのかっていうのが一番の問題で、それは缶のおしるこでも、お椀に入ったおしるこの温かさでもなく。

そこに向かう道中で繋ぐ、俺の手の暖かさ。



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朔夜サマ相互記念に押し付けさせていただきます(^^)「バカップルな土銀」…っていうよりひたすら甘い気がする、あれ誰かまた砂糖足しましたか?
駄文すみません、ごめんなさい、でも大好きです!相互ありがとうございました(^^)



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