宝物庫
□見つめる先には…
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午後の穏やかな日差しが差し込んで来て、その人の端正な横顔を明るく照らす。その様をオレは無言で見上げていた。その視線に彼は気づいたのか一つため息をつくと膝の上にあるオレの顔を見下ろした。
「さっきから何見てんだ。」
オレは「何も。」と答えて知らないふりをする。
「あと、そんなとこで寝るんじゃねぇ。寝るなら布団で寝ろよ。」
オレは仕事をしている土方の膝に頭を乗せて寝転んでいた。確かに、寝るとはいっても快適には眠れない膝枕だ。何せ女の柔らかい膝では無く、男性特有の硬い膝だ。だけどオレは『土方の』膝だから、こうして安心して身を任せているんだ。その事を素直に――いつもを考えたら珍しい――伝えると土方は笑った。口元を緩ませて優しい表情でオレを見る。それが不覚ながらとっても恰好よくて…オレは赤くなった頬を見られたくなくて目をそらした。
時が流れ、外は夕焼け色に染まろうとしていた。土方の漆黒の髪が朱に照らされ、それに目を奪われる。
(恰好よすぎるんだよな、コイツ…//)