銀魂長編小説
□百華詠歌〜君影草〜
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百華詠歌
〜君影草〜
高杉は小さな丸窓から見える月を見上げていた。冴えた月の光は暗い室内を白く照らしている。
煙管を燻らせて月を見詰めていた視線を地上に降ろせば、庭先に銀の月が出ていた。
「相変わらず、気配がねぇなぁ」
至極楽しそうに高杉はその月に向かって声をかけた。
地上の月は、天上の月の光に照らされながら、銀糸を靡かせて高杉に近付いた。
「銀時・・・」
名を呼んで窓から手を差し出せば、銀時は甘える子供のようにそれに頬を寄せた。
さらりとした少し冷たい体温が心地良い。
「情報、助かった」
「・・・その為に俺がいるんだ」
高杉の言葉にほんの一瞬、銀時は哀しそうに微笑んだ。
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