get
□相互記念☆悠璃様より
1ページ/5ページ
■君の隣にいる方法■
昼下がりの調理場で、にぎやかな声が響く。
今日は宿屋の定休日。
皆でパン作りをしています。
『そうそう…そのまま表面がなめらかになるまでこねるんだ』
『………こう?アルバ』
『うん。上手だね、ミルリーフ』
一生懸命力をいれてパンの生地をこねているミルリーフの頭を、アルバはそっとなでた。
ミルリーフは嬉しそうに笑う。
アルバもつられて頬がゆるんだ。
『あるば!ウマクマルメラレナイ〜!!』
すると、背後からグランバルドの悲鳴が聞こえてきた。
アルバは焦ってそちらに向かう。
『うわっ!!グランバルド力いれすぎだよ!もっと優しく、丁寧にまるめるんだ』
『………コウ?』
『そうそう』
こんな感じで、アルバは忙しく皆にパン作りを教えていた。
ようやく一段落つき、オーブンにパンを入れると、アルバはやっと椅子に座ることができた。
『ふぅ……』
『アルバ、お疲れ様』
『あ、フェア』
アルバが一息ついていると、フェアがやってきて、目の前の机にお茶のカップを置いた。
そして向かいに座る。
『ごめんね、修業の途中で呼び出しちゃって』
『ああ、いいんだよ。おいらも楽しいし』
『よかった♪アルバがパン作りが上手だって言ったら、皆作りたいって言い出しちゃって』
『あはは、そうだったんだ』
フェアは話しながら、手慣れた感じでカップにお茶を注いでいく。
熱いお茶からは湯気といい香りが立ち上っている。
フェアは並々とお茶がつがれたカップをアルバの方へ差し出すと、にっこりと笑った。
『どうぞ』
その笑顔を見て、アルバはつい赤くなる。
それを隠すために、熱いお茶をぐい、と飲んだ。
『あ、あったかいね///』
『あはは、熱くない?』
『う、うん…///』
修業を途中で切り上げてきてよかった、とアルバは不謹慎にも思ってしまった。
こうして、彼女の嬉しそうな笑顔を見れたのだから。
アルバは緩む頬を隠すために、熱いお茶を更に流し込んだ。
.