灼熱に咲く華

□罪と罰と口付けを
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太陽が支配する時間が終わり、星の名のもとに夜の闇が広がる。
砂に覆われたこの国は、昼の焼け付くほどの熱が、日が沈むとともに消え失せ、心地よいばかりの空気を漂わせる。

砂の大地に建つ荘厳な白亜の宮殿が、松明の光に照らされ、紅く浮かび上がる。
宮殿は、昼間の賑わいが嘘のようにしんと静まり返っていた。

ただ、ひとつ。

王の私室は、異なる空気が流れる。

熱狂を帯び、絡まる二人を包み込む。



「も、う…、お許し、下さい…」


黒髪の青年を組み敷き、貪るのは、翡翠を持つ太陽の化身。
逃げようとする肢体を押さえ込み、さらに奥深くまで繋がる。
高い嬌声が上がり、仰け反る喉元に食らい付き、動きを早める。


「いやぁ…、あ、あ…、もう、やめ…」 


泣きじゃくる黒髪の青年は、星を任う神官の身。
彼は誰も、触れることの許されない高潔な存在である。
その身を開くのは、この国の王だ。


「ルルーシュ、君は、僕のものだ。例え、天上の神だろうと、君を、渡すつもりは、ない」


最奥を抉られ、ルルーシュは身体を震わせながら、達する。
そのすぐ後に、王自身も彼の中に熱を放つ。

荒い息が、部屋に響く。


「ルルーシュ、名前を、僕の名前をよんで」 


「スザ、ク」


王―スザクは、ルルーシュの額に口付けを落とすと、静かに微笑む。
その笑顔が、ルルーシュには、恐くてたまらない。

再びルルーシュの肌を滑る唇に、身体が震える。
何度も何度も肌をたどり、すべてを消すかのように這う。
時折、強く吸われ、その度に、赤い跡が残る。真っ白なルルーシュの肌に、赤い花が咲き誇る。
まるで、所有の証でもあるかのようにスザクは執拗に刻み付ける。


「ルルーシュ、綺麗だ。もっともっと、君を見せて。僕だけの君を」


ルルーシュは下りてくる唇の熱さに、目を閉じた。
零れ落ちる涙が、止まらない。

彼を壊したのは、自分だから。ただ、そう、心で呟く。

もう、あの日には、戻れない。
眩しく輝いていた太陽は、その身を黒く染めた。

これが、スザクを愛したことへの己への罰ならば、喜んで受けよう。

だから、どうか、彼を救ってほしい。

ルルーシュは熱に浮かされるなか、星の名のもとに祈り続けた。




END

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