太陽が支配する時間が終わり、星の名のもとに夜の闇が広がる。 砂に覆われたこの国は、昼の焼け付くほどの熱が、日が沈むとともに消え失せ、心地よいばかりの空気を漂わせる。 砂の大地に建つ荘厳な白亜の宮殿が、松明の光に照らされ、紅く浮かび上がる。 宮殿は、昼間の賑わいが嘘のようにしんと静まり返っていた。 ただ、ひとつ。 王の私室は、異なる空気が流れる。 熱狂を帯び、絡まる二人を包み込む。 「も、う…、お許し、下さい…」 黒髪の青年を組み敷き、貪るのは、翡翠を持つ太陽の化身。 逃げようとする肢体を押さえ込み、さらに奥深くまで繋がる。 高い嬌声が上がり、仰け反る喉元に食らい付き、動きを早める。 「いやぁ…、あ、あ…、もう、やめ…」 泣きじゃくる黒髪の青年は、星を任う神官の身。 彼は誰も、触れることの許されない高潔な存在である。 その身を開くのは、この国の王だ。 「ルルーシュ、君は、僕のものだ。例え、天上の神だろうと、君を、渡すつもりは、ない」 最奥を抉られ、ルルーシュは身体を震わせながら、達する。 そのすぐ後に、王自身も彼の中に熱を放つ。 荒い息が、部屋に響く。 「ルルーシュ、名前を、僕の名前をよんで」 「スザ、ク」 王―スザクは、ルルーシュの額に口付けを落とすと、静かに微笑む。 その笑顔が、ルルーシュには、恐くてたまらない。 再びルルーシュの肌を滑る唇に、身体が震える。 何度も何度も肌をたどり、すべてを消すかのように這う。 時折、強く吸われ、その度に、赤い跡が残る。真っ白なルルーシュの肌に、赤い花が咲き誇る。 まるで、所有の証でもあるかのようにスザクは執拗に刻み付ける。 「ルルーシュ、綺麗だ。もっともっと、君を見せて。僕だけの君を」 ルルーシュは下りてくる唇の熱さに、目を閉じた。 零れ落ちる涙が、止まらない。 彼を壊したのは、自分だから。ただ、そう、心で呟く。 もう、あの日には、戻れない。 眩しく輝いていた太陽は、その身を黒く染めた。 これが、スザクを愛したことへの己への罰ならば、喜んで受けよう。 だから、どうか、彼を救ってほしい。 ルルーシュは熱に浮かされるなか、星の名のもとに祈り続けた。 END |