注意!! このお話は、完全に管理人の趣味で書いております。 だいぶ、ぶっ飛んでいるため、歴史や遺跡に興味ない方はバックでお願いいたします! 何でもOK!、大好きよ!な方のみ中へどうぞ!
密林が広がる奥地。その奥地には、遥か昔、ある文明が存在していた。 マヤと名付けられたその文明は、他の文明と異なり、悠々と大地を流れる大河の恩恵を受け、繁栄したのではなく、セノーテと呼ばれる天然の泉により発展した。セノーテとはユカタン半島の石灰岩地帯に見られる陥没穴に地下水が溜まった天然の井戸、泉のことをいうが、その水は澄みきり奥底まで地上に映す。洞窟から漏れる日の光を受け揺れる水面は、密林の深緑と空の蒼を反射し、澄んだ蒼と翠を鮮やかに纏う。 セノーテはマヤにおいて無くてはならぬ命の源であった。 そのセノーテのすぐ近く、緑一色の大地から突然顔を覗かせる建造物が存在する。それは、かつての人々が残した記憶の証であるが、彼の目的もまた、この過去の遺物であった。 「ここか……」 バスから降りた青年は、顔の上半分を覆うサングラスを外すと、眼前に広がる光景に感嘆の息を零した。漆黒の髪が額にかかると、ほっそりとした手がそれを掻きあげる。その奥から覗く瞳は、アメジストと同じ輝きである。ほっそりとした肢体は細く、華奢である。真っ白な肌を紅潮させ、後ろから降りた青年に満面の笑みを見せる。 「スザク!見ろ!あれが、カスティーリョだ!」 広がる広場に突如として現れる巨大な建造物。空に伸びるのは階段状に作られたピラミッド。頂上に神殿を抱き、長く伸びる階段が四方に掲げられている。 キラキラと瞳を輝かせ、興奮したように語る青年を見つめるのは、翡翠の瞳の青年である。 くるくると跳ねた茶髪と、丸く大きな瞳が彼を幼く目せるが、彼はとうに成人を迎えている。肌の色は黄色じみていて、健康的に焼けている。そのため、彼の前にいる青年の白さが際立って見えるのだ。 大型連休を利用し、乾季の終わりでもある五月にこの国を訪れた彼らの目的は、この遺跡にほかならない。 ほかの観光客がゆったりと歩む中、ルルーシュの細い体が震えている。ああ、とスザクは目を細め、口元を綻ばせた。 「ルルーシュ、嬉しい?」 青年―スザクが問いかければ、アメジストの瞳がさらに輝きを増す。嬉しさのあまり咳きこんだ彼の背をゆっくりとする。 それでも、彼の輝く瞳は止まらない。 彼の口からこの遺跡の全容が語られてゆく。淀みなく続く言葉は、もう耳タコであるが、スザクは決してそれを止めることはない。 チチェン・イッツァは1988年に世界遺産に登録されたメキシコ、マヤ文明の遺跡である。つい最近映画で話題になったマヤの予言だが、2012年人類滅亡説とは、マヤ文明において用いられていた暦の一つ長期暦が、2012年12月21日から12月23日頃に一つの区切りを迎えるとされることから連想された終末論の一つである。このような予言が生まれた背景には、マヤに優れた天文学が存在していたからとも言われている。 彼らの目の前に存在するピラミッド「カスティーヨ」はマヤの最高神ククルカンと呼ばれる羽毛のあるヘビの姿の神を祭る。ピラミッド階段は4面の91段を合計した364段に最上段の神殿の1段を足すと、丁度365段である。また1面の階層9段は階段で分断されているので合計18段となり、これらはマヤ暦の1年(18ヶ月365日)を表す。このことから「暦のピラミッド」とも呼ばれる。 北面の階段の最下段にククルカンの頭部の彫刻があり、太陽が沈む時、ピラミッドは真西から照らされ階段の西側にククルカンの胴体(蛇が身をくねらせた姿)が現れ、ククルカンの降臨と呼ばれている。それを見ることが出来るのは、春分の日と秋分の日のみである。 「スザク、スザク、早く!!」 ようやく落ち着いたかと思ったが、ルルーシュはすぐに駆けだしてゆく。太陽の光がルルーシュの黒髪を艶やかに照らす。その後ろ姿を見つめ、スザクはやれやれと溜息をつきつつ、追いかけた。
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遺跡オタクなルルさん(笑)
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