転生もの

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誰より愛する人だった。
誰より憎い人でもあった。



「あッ!……ん、はッ……」



計画が決まってから、何かに追われるように激情をぶつけ合う。
叩きつけるようにひたすら求め合う。
温もりも熱さも、幻のように今にも消えてしまうようで、時間の許す限り彼をかき抱いた。



“ゼロ・レクイエム”
それが、ルルーシュが計画したすべての罪の償い方だった。



汗に濡れた艶やかな黒髪がシーツに舞う。額に張りついてしまったいくつかを払ってやれば、荒い息の合間に見えた微笑みが胸を貫いた。細い肢体が揺らめく。
窓から漏れる月光が、アメジストの瞳を照らしていた。
その光は、何よりも欲していたものだった。けれど、もう、手に入れることは出来ない。



仰け反る肢体を深く抱き締め、赤い唇を塞ぐ。薄く開いた中に舌を滑り込ませれば、すぐに絡め合う。すべてを奪い尽くしたくて、甘い吐息すら貪る。
もっと、もっと、彼が欲しい。彼と己をへだてるすべてを取り払い、溶けあいたい。


一つになりたい。そう願っても、すぐに掌から零れ落ちてしまう。



唇を離せば、荒い息が漏れた。うっすらと開いたアメジストに浮かぶ涙さえも、愛しいと思った。



「ルルーシュ……」



それでも、自分たちは共犯者であり、進む道の先は決して交わらない。
嘘の仮面で偽りの友を演じ、殺し合い、憎み合った。
互いの手を取り合ったのは、ゼロの名のもとに奏でる鎮魂歌のため。もはや引き返せない所まで来てしまった。
それでも、この腕の中に命が愛しい。失いたくないと、心が抗っていた。
誰よりも愛する人であり、護りたい人だった。



愛している――、と。
ただ一言すら伝えられないかわりに、名を呼ぼう。
彼の名を。すべての愛と精一杯の願いを込めて、名を呼ぼう。



「ルルーシュ……」



彼が、瞳を細め、笑う。月光の下で、浮かぶ汗が光って見えた。
抱き締めた彼のぬくもりを忘れないと、見上げる月に誓った。

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